【自転車奔走記】第587回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第587回。

11月最初の日曜日、皆様いかがお過ごしで
しょうか?朝晩10度台の気温、日中は20
度近くと、寒暖差が大きい毎日ですね。これ
だけ寒暖差が大きいと、着回しも大変になり
そうですが、こまめな衣類での調整が寒暖差
の大きな時期を健康に過ごす一つの秘訣です。
と、衣料品に春物・秋物なんてモノがあると
いう事を知ったのがつい最近。寒くなると上
着を着て暑ければ脱ぐ、といった原始的なス
タイルで幾年月、「着回し」なんて言葉とは
無縁の人生を送って来たワタクシが言うのも
なんですが…、皆様、寒暖差による体調不良
には十分お気をつけ下さいね(笑)。これか
ら秋も深まってきますので、秋の風物を満喫
できるよう健康には十分注意してお過ごし
下さい。では【自転車奔走記】はじまり!
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たきび版:介語苑・73ー39。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
生活保護の8つの扶助についてお話をしてい
ます。今週は「出産扶助」について。出産扶
助とは、生活保護受給者が出産する際に要す
る費用に対して支給される扶助のことを指し
ます。その費用項目は…と、お話を進めたい
ところですが、前段として少し扶助からお話
が離れますのでご了解下さい。

さて、生活保護制度には「他法優先」という
決まりがあります。その根拠は生活保護4つ
の原理の一つ「保護の補足性」です。生活保
護法の文面では「民法(明治二十九年法律第
八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び
の法律に定める扶助は、すべてこの法律によ
る保護に優先して行われる
ものとする」と記

載されていますが、要は使うことができる資
源や制度は全て利用して、それでも足りない
部分を生活保護で補う(補足)という考え方
です。ですので、生活保護の様々な制度を利
用する際には、その制度と同様の資源や既存
の法律、制度がある場合に限りそちらを先に
利用することが定められています。このこと
を「他法優先」と呼びます。

例えば先週お話した医療扶助についても、障
害者医療や指定難病等の助成を受けることが
できる場合は、扶助の前にそれらの助成を受
給することになります。ここで話を戻し、生
活保護での出産扶助の場合も同様で、経済的
な事情で入院して出産ができない妊産婦を対
象とした「入院助産制度」という制度が既に
ありますので、出産扶助に優先してこの助成
を利用することになる訳なんです。参考まで
に「入院助産制度」というのは、出産に当た
って保健上必要であるにもかかわらず、経済
的な理由で病院又は助産所に入院できない妊
産婦の方を対象にして、その出産に要した費
用を助成する制度です。

さて、出産扶助には3つの支給項目があって、
それぞれの項目に応じた扶助が支給されます。
内訳は①分娩費(基準額)②出産に伴う入院費
③衛生材料費となっています。また、出産に
は当然ながらオムツやミルクなどの必要物品
の準備が必要になります。それら費用は、基
本的には被服費として、或いは妊産婦加算と
して生活扶助に含まれることになるのですが、
最低限必要な量に対して不足していると認め
られた場合は、生活扶助とは別に「出産準備
費用」として支給される場合もあります。

以上が「出産扶助」になります。続いて「教
育扶助」のお話に移ります。この教育扶助で
すが、生活保護受給世帯の児童が義務教育を
過不足なく受けられるように設けられている
扶助のことですが、お気付きの方も多いと思
いますが、義務教育期間は小~中学の合計9
年間ですので、保育園や幼稚園、そして高等
学校、大学は教育扶助の対象外となります。
現在の日本では高校進学率97%以上、大学
進学も50%以上となっていますし、保育所
等も待機児童が話題になるなどしていますの
で利用率は上がっていると考えられます。

このような社会状況で、生活保護世帯の方の
教育機会が教育扶助を適用される義務教育期
間だけだとすると、これは社会的にかなり問
題があると思いますよね。でも、その点はし
っかりと対応できる制度があります。例えば
高校進学については、教育扶助とは別の「生
業扶助」という扶助を利用することができま
す。このように、教育扶助のお話をするので
あれば、せっかくの機会ですので生活保護世
帯の方の教育事情や国・行政の施策も併せて
お話するほうが、皆様の理解の幅も広がると
思います。

ですので、来週からの教育扶助のお話は、扶
助のお話を少し越境して、生活保護・低所得
世帯への支援や施策を絡めたスピンオフ的な
展開!(大袈裟ですが)となりますので、ご
期待下さいませ。
では、今週はここまで。
またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆