【自転車奔走記】第565回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第565回。

6月最初の日曜日です。皆様いかがお過ごし
でしょうか?まさかまさかの5月末での梅雨
入り!ちなみに5月の梅雨入りは約10年ぶ
りだそうです。ワタシ的にはココロの準備も
整わないまま、あっ!と気が付けば梅雨にな
っていました…といった感じで、少々呆然と
しています。皆様、早く梅雨が明けることを
願いながら、こまめな水分補給、そして室温
対策を忘れないようお願いしますね。
また、食中毒など梅雨時の衛生にも十分ご配
慮下さい。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73―18。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今回からは社会保障の4つの柱の3番目『高
齢者福祉』についてのお話となります。

高齢者福祉についてお話をすすめていく際に
実は制度面でのややこしさが理解を「??」
としてしまうパターンが往々にしてあります。
というのも、高齢者福祉を扱う代表的な法律
としての「老人福祉法」、そして介護サービ
スの制度を定めた「介護保険法」、この二つ
の法律は別のものであるにもかかわらず、そ
の内容に重複が多々見られるからなんです。

例えばよく耳にする「特別養護老人ホーム」
という施設、この名称は老人福祉法を根拠と
する呼称ですが、全く同じ施設も介護保険法
上では「介護老人福祉施設」と呼ばれること
になります。同じものなのに、法律が変わる
と別の呼び方となる…この少々奇妙な重複が
高齢者福祉のお話を少し分かりにくくしてい
る原因なんですね。ということで、初回の今
週は、日本の高齢者福祉の歴史のうち、老人
福祉法と介護保険法の成り立ちを簡単に紐解
いたうえで、この重複が生じる訳についてお
話をしたいと思います。

老人福祉法などの法律がまだなかったころの
日本の高齢者福祉施策は、生活保護法に基づ
いた養老施設への収容保護が中心でした。で
すが経済成長などで社会が安定化してくると
高齢者の増加、高齢者の就労機会の減少など
高齢者を取り巻く環境が変化してきました。
そこで1963(昭和38)年、高齢者の心身の健
康の保持や生活の安定を目的として老人福祉
法が制定されました。制定当初は施設の整備
に重点が置かれていましたが、1970年半ば以
降、在宅福祉への認識が高まり、在宅福祉施
策の充実が図られるようになります。そして
1990(平成2)年には、老人福祉法の一部が
改正され、福祉サービスは住民に身近な市区
町村において実施することを基本とする体制
が整備されました。

ところが、急速な高齢化が進展するとともに、
寝たきりや認知症の高齢者の増加、核家族化
による家族の介護機能の低下、さらに高齢者
介護にかかる社会保障費の急激な増大など高
齢者の介護が社会的な問題となってきました。
そこで、高齢者の介護を社会全体で支える仕
組みとして、1997(平成9)年、介護保険法
が制定され、2000(平成12)年4月から施
行されました。と、このような流れとなって
います。

ここで注目してほしいのは、高齢者福祉の歴
史が、救民や生活の安定などの福祉的側面に
対応したものから、介護保険に代表される実
際のサービスへとシフトしてきた点。この観
点から見ると、高齢者福祉というものは大き
な社会のセイフティーネットで、介護保険等
はその網を構成する要素の一つであると言え
ます。先ほど例に挙げた「特別養護老人ホー
ム」と「介護老人福祉施設」の関係もまさに
それで、特別養護老人ホームは老人福祉法に
基づき、介護老人福祉施設は介護保険法に則
ってその機能を社会で果たしているという訳
です。では、特別養護老人ホームの役割は?
となりますよね。というところで、次回から
もう少し詳しく高齢者福祉、そして老人福祉
法を見ていきたいと思います。

では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆