【ケアマネの自転車奔走記】連載・第704回。
12月最初の日曜日。皆様、いかがお過ごしで
しょうか?急に寒くなりましたね。今季は暖
かい冬かなと思っていましたが、どうも「冬
らしい冬」だそうです。寄る年波に寒さは辛
いものですが(笑)、今年も残り一月、張り
切っていきましょう!
皆様、風邪予防、体調管理は大丈夫でしょう
か?インフルエンザが流行しています。感染
症予防もこまめにお願いします。寒くなりま
すので、ヒートショックにも十分ご注意を。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・76ー5。
【語句】
マネープラン
【意味】
結婚、出産、住宅購入、老後資金など、人生
のイベントで必要となるお金について、いつ、
いくら必要になるかを具体的に計画し、資産
形成の方法まで含め考えるお金に関する計画。
◎短期連載企画
日本社会がたどってきた
〈老い〉と〈お金〉の文化史
【第3.5回】幕間~過渡期の時代~
高齢者を取り巻く社会とお金の問題を文化史
的に論考する連載、先週までは主に高齢者の
社会的な立ち位置について歴史的、文化史的
な経緯からお話をしてきました。そして、こ
れから現在へと視座を移していくわけですが、
今回はその幕間として、私が感じた過渡期の
風景をお話したいと思います。
1990年代の後半、日本社会は奇妙で、高揚感
のある現象が生じていました。バブルが崩れ、
不況の波が静かに忍び寄り、世の中には暗い
雰囲気が満ちていたのに、なぜか老いだけは
新しい光を浴びていました。思い返すと、当
時の雑誌には、白髪を軽やかになびかせた男
女が笑顔で海外を旅し、今では一般的になっ
たシニアという文言が浸透し出し、ちょうど
50代へと差しかかった団塊世代が5「仕事中
心の人生からの卒業」を語り始める…そんな
風景を思い出します。
老後という言葉が、第2の人生のスタートと
して肯定的に認識され始めたこの頃の世相は、
生涯学習やシニア大学が盛況を呈し、「第二
の人生」「自分探し」「アクティブシニア」
といった言葉が出てきて、老後がリタイアで
はなく「リスタート」として輝けるものとし
て扱われていました。第一線を退いた後は、
家族や地域社会の庇護のもとゆっくりと老い
ていく、という日本型福祉社会の高齢者像の
転換期ですね。ですが、明るい日差しの裏に
は、当然のように影の部分もあったわけです。
当時の社会情勢は、
〇長寿化が進み、老後が予想以上に長くなる。
〇年金制度の改正が続き、将来受け取れる額
が不透明になる。〇非正規雇用が増え、安定
したキャリアの梯子そのものが揺らいでいく。
〇家族構造は縮み、三世代同居はあっという
間に珍しい光景になっていく。〇核家族化と
社会の流動化が進み、社会に存在していた縁
が縮小していく。
このようなものでした。どれも今に通じるも
のですよね。これらの事柄は、当初より様々
な形で問題提起はされていましたし、介護保
険制度の成立もそもそも論でいうと、上記の
ような社会背景を起点としています。ですが、
これらの問題はいわば社会の不可触領域とし
て、「判っているが、触れたくない」といっ
た感じで静かに進行していったんですね。そ
して現在これらの問題は、「無縁社会」や
「高齢者の格差」、さらに「世代間の分断」
として表面化しています。その背景としては
様々な要因が考えられますが、私は「先の見
通せない社会で、自分の先を考える困難さ」
と「高齢者が持つ受動性と能動性の揺らぎ」
があると考えています。
その事も含めて、次回【〈選べる老い〉が生
んだ格差の時代——個人化がもたらした老後
像の多様化と分断、そして揺らぎー】をお話
したいと思います。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆

