【自転車奔走記】第586回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第586回。

10月最後の日曜日、皆様いかがお過ごしで
しょうか?
朝晩は『寒い』と感じるようにな
ってきましたが、先日のニュースで今年のエ
ルニーニョ現象は通称「スーパーエルニーニ
ョ」と呼ばれるものらしくて、海水温の温度
は通常に比べて2度も高く、極端な暖冬が予
想されるとの事。もしかしたら、今年の夏の
異常な暑さもそれが原因かもしれませんね。

とはいえ、季節は秋から冬に向かいます。寒
暖差による体調不良には十分お気をつけ下さ
い。風邪をひきやすい時期になりますし、イ
ンフルエンザも地域によっては流行している
ようなのでご注意をお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー38。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週は生活保護制度の8つの扶助のうち、医
療扶助についてのお話になります。医療扶助
とはその名の通り、医療機関の受診やお薬の
処方を受ける費用などの医療に関する扶助で
す。特筆すべきは、前回お話した生活扶助が
現金を直接給付する「現金給付」であったの
に対してこの医療扶助は「現物給付」、受診
や入院、手術、処方薬代などを医療機関や薬
局に直接給付するものとなっています。

つまり、生活保護受給者は窓口等で支払いを
する必要がないわけですね。よく『生活保護
受給者は医療費がかからない』と言われます
が、支払いの方法が違うだけで、タダにはな
っているわけではないんですね。

ここで、少し話を変えて、生活保護受給者の
医療機関等への受診についてお話します。ま
ず、生活保護制度を利用している方(正確に
は生活扶助を受給している方)については国
民健康保険料が免除となる規定があります。
このことは、生活保護制度利用中の方は国民
健康保険の制度を利用できないことを指しま
す。とすると保険が利用できないので、かか
った費用を医療扶助で賄うことになります。

つまり「現物給付」ですね。生活保護受給者
の方の場合、国民健康保険証の代わりに「医
療券」というものが福祉事務所から発行され
ます。これが保険証代わりになるもので、こ
の医療券を医療機関や薬局に提出することで
医療扶助が受けられる、つまり受診ができる
というシステムになっています。この医療券
ですが、どこでも有効という訳ではなく、市
町村が指定した「指定医療機関」でのみ使う
ことができます。

また、医療券の発行には事前に福祉事務所へ
の相談が必要です。通常の場合、病院受診を
する前に、受診したい医療機関と薬局を福祉
事務所のケースワーカーに相談し、福祉事務
所から医療券の発行を受けたうえで、その医
療券を受診先の病院に提示することで、現物
給付である医療扶助が受けられるという流れ
になります。但し、夜間や緊急時にはその限
りではなく、受診先の医療機関に生活保護受
給者である旨を伝えることで、医療機関と福
祉事務所が連絡を取り合って医療券を発行す
る場合もあります。

ここでお話を戻します。医療扶助は現物給付
としての医療費や入院費、薬代などが対象と
なっていますが、そのほかにも治療材料費と
して眼鏡や歩行杖の購入も医療扶助の対象と
なる場合があります。また、入院費について
も、個室使用など差額費用が発生する場合は
その部分は対象外となりますので、注意が必
要です。

というところで今週はここまで。
次回は「出産扶助」についてお話します。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆