【ケアマネの自転車奔走記】連載・第534回。
10月も終盤に入りました。皆様、いかがお過ご
しでしょうか?朝晩はめっきり涼しくなりました
が、日中は汗ばむくらいの陽ざしが差し込むよう
な寒暖差の大きい日が続いていますね。ワタシも
車で移動しているとガラス越しの陽ざしが暑く冷
房をかけて運転しているくらいです。ただ、確実
に空気は涼しくなってきていますので、体にこた
える不安定な気候も、もうしばらくの様子ですね。
そんな秋の深まりを待つ間に、この冬流行が懸念
されるインフルエンザの予防接種をお願いします。
新型コロナウイルス感染についても、基本的感染
対策をしっかり行って予防をお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-37。
【語句】
睡眠障害
【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や
過眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。
【解説】
今週は『睡眠12箇条』の第9条についてです。
第9条
熟年世代は朝晩メリハリ、
ひるまに適度な運動で良い睡眠。
(解説)
先週は勤労世代の睡眠時間などについての内容でし
たが、この条では熟年~高齢世代の睡眠について述
べています。健康のために良いとされる睡眠時間や
睡眠パターンは、年齢によって大きく異なることは
お話してきましたね。人間は年を重ねるにつれ、若
年期に比べて必要な睡眠時間が短くなっていきます。
具体的には、65 歳では20 歳代に比べて必要な睡眠
時間が約1 時間少なくなると考えられています。
さて、ここで興味深い研究の結果があります。健康
な人の生理的な睡眠時間は一定の範囲内にあります
が、その範囲を超えて長時間就床させて生活をさせ
るという介入研究したところ、被験者は逆に寝つく
までの時間が延長し中途覚醒の時間や回数が増加す
るという結果が示されました。つまり、必要以上に
長い時間寝床に就いたとしても、その時間中ずっと
眠れる訳ではなく、逆に中途覚醒が出現し、熟睡感
が損なわれ、結果として不眠につながるということ
なんですね。また、脳波を用いて客観的に調べると、
夜間に実際に眠ることのできる時間(正味の睡眠時
間)は加齢とともに短くなるのに対して、実生活で
は年齢が高くなるほど寝床に就いている時間は延長
しているというデータも示されています。
ここから言えることは、年齢相応の適切な睡眠時間
をしっかり把握して、その時間を目安にして就寝時
刻と起床時刻を見直すこと、要は「寝床で過ごす時
間を適正化する」ということが大切であるというこ
となんですね。私たちは齢を重ねるにしたがい、な
かなか寝付けない、排泄などの頻繁な夜間覚醒、日
中活動量の低下による眠気の減少など様々な睡眠に
関する問題が起きてきます。ただ、しっかりとした
自分自身の睡眠の評価をしないまま、長い時間眠る
ため寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると、先
ほどお話した通りに、かえって睡眠が浅くなったり、
夜中に目覚めやすくなったりして、結果として熟睡
感が得られず、さらに寝床で過ごす時間が増えると
いう悪循環に陥りかねません。
ですので、条文にもある通り、就寝と起床の時間を
概ね自分にとって必要な睡眠時間に合わせることが
非常に大切になります。そのためには自分に必要な
睡眠時間はどれだけか?ということをしっかり把握
しておくことが重要になりますね。一般的に適切な
睡眠時間は45 歳では約6.5 時間、65 歳以上になる
と6 時間程度と言われていますが、適切な睡眠時間
は当然個人差もありますし、日中の活動量によって
も増減します。ですので、自分にとって適切な睡眠
時間を知る一つの目安として、今の睡眠時間で日中
しっかり目覚めて過ごせているかどうか?を考えて
いただけると良いかもしれません。日中強い眠気を
感じることなく過ごすことが出来ているのであれば、
睡眠時間は十分足りていると判断できますので、そ
の時間に合わせて起床・就寝時間を調整していけば
OKということですね。また、日中の昼寝について。
短時間の昼寝は作業効率をUPさせることは前回お話
しましたが、日中に長い時間眠るような習慣は、昼
夜の活動・休息のメリハリをなくすことにつながり、
夜間の睡眠が浅く不安定になりがちとなりますので
注意が必要です。昼寝とは逆に日中に適度な運動を
行うことは、昼間の覚醒の度合いを維持・向上し睡
眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることに役立ち、
主に中途覚醒の減少をもたらし、睡眠を安定させ結
果的に熟睡感の向上につながると考えられています
ので、フレイルやサルコペニア予防の観点からも毎
日の適度な運動を習慣化することは健康に非常に効
果の高い行為と言えます。
というところで今週はここまで!
次回も睡眠12箇条についてのお話が続きます。
日曜日のお相手、広森でした。
SEE YOU NEXT WEEK☆