【自転車奔走記】第527回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第527回。

9月最初の日曜日です。皆様、いかがお過ごしで
しょうか?
先週初めくらいから、会社近くの田ん
ぼの稲刈りが盛んに行われていました。つい先日
まで黄金色の穂と稲が風に揺られていた田んぼが、
刈り取られ、切り株だけになったのを見ると、秋
の到来の足音を感じますね。ですが、まだまだ残
暑が続きます!引き続きこまめな水分補給や室温
管理など、脱水症や熱中症の予防をお願いします。
そして新型コロナウイルス感染症についても、手
洗い、マスクの適切な着用、密の回避、こまめな
換気など基本的な感染予防対策をしっかり行いな
がら、引き続き感染予防に努めて下さいませ!
では【自転車奔走記】はじまります!
—————————————————-
たきび版:介語苑・72-30。

【語句】
睡眠障害

【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や
過眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。

【解説】
今週は睡眠「良い睡眠」を取り巻く難しさについ
てお話をします。前回のお話で、良い睡眠(健康
睡眠)とは、睡眠と覚醒という活動が切れ目なく
行われる人間の生活において、良い睡眠を取るこ
とで良い日中活動ができ、そのことが良い睡眠を
もたらすという活動のサイクルが健康的に動くこ
とであるといったお話をしました。つまり、質の
悪い睡眠は覚醒時の活動に良くない影響を与える
ことがあり、逆に覚醒時の問題は睡眠に影響を及
ぼすという事です。こんな一見当たり前のような
事柄ですが、『言うは易く行うは難し』のとおり
いざ実行となるとなかなか一筋縄ではいなかない
もの。第一に、今の日本社会においては、社会の
24時間化が当たり前のようになっています。おま
けに24時間化は社会全体の夜型化をも進行させて、
睡眠と覚醒の一般的関係、つまり『夜の睡眠と昼
の覚醒』という両者の規則性や安定性を継続的に
確保し続けることが社会的に困難になっていると
言えます。

加えて、人間は昼行性の生き物ですので、生理的
な概日リズムや概日システム、睡眠の調整システ
ムもそれに合わせて遺伝的に代々受け継いできた
ものなんですが、社会はこの1世紀の間に急速か
つ大きな変容を果たし、その変化は加速しながら
今でも続いています。つまり現代社会においては、
遺伝的レベルで受け継いで生きている人間の生物
としての営みと加速度的なスピードで変容する社
会の中での人間の営みとの間に大きなひずみとい
うか断層が生まれていると推測できます。そして
そのひずみを解消しようにも、社会の変容のスピ
ードを止めることや人間の遺伝情報や進化の適応
変化を加速させることはほぼ不可能、誰にもでき
ないという現実を突きつけられます。難しさの二
番目は、現実の社会生活においては、規則正しい
生活リズムと適正な睡眠の確保を望んでも実現で
きない場合が往々にしてあるという事です。

例えば夜勤などがあるシフト勤務の場合、日中活
動と夜の活動が非周期的に現れますので、人間の
生理現象に適合した規則正しい生活リズムを維持
することは長期的に見るとかなり難しいことがお
分かりいただけると思います。加えて言うと
現代
社会から要求される生活リズムを『当然のもの』
と受け入れてしまうことで、自分の生活リズムや
睡眠の質について問題点が隠されていても、それ
を「問題点」と認識できない場合も存在しえます。
あるいは、自分自身の問題を認識できていたとし
ても、健康的な生活を送ろうとすること自体、社
会から要求される自身の生活との間に葛藤を生じ
させ、それが新しいストレスになり、生活習慣や
睡眠の改善にいたらない場合もあり得ます。

これらの睡眠にまつわる問題点を総括すると、睡
眠という観点から見た場合、人間の生理的活動と
社会的活動を両立させようにも、その間には埋め
ることのできない深い“溝”が存在するというお話
で、これこそが、睡眠を取り巻く「難しさ」の本
質部分になるんですね。実は、これから良い睡眠
の取り方的なお話に進んでいくんですが、それら
のお話は基本的に昼行性である人間の生理的活動
パターンに基づいたお話になります。また、世に
流布する“良い睡眠”についてのお話もほぼベース
は同じで、『夜寝て朝起きる』といのが大前提に
なっています。これらのお話は、人間の生理学的
にはしごく真っ当なお話になるんですが、その裏
に実は先ほどお話したような“難しさ”が横たわっ
ていること、そしてこの難しさは現状如何ともし
がたく、睡眠を考える上で大きな障害となってい
ることを覚えていただければ幸いです。

というところで今週はここまで。
次回からは、良い睡眠の実践方法というか、良い
睡眠を取るための考え方を具体的にお話していき
ます。
では、またお会いしましょう。
日曜日のお相手は私、広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆