【ケアマネの自転車奔走記】連載・第664回。
3月最初の日曜日、皆様いかがお過ごしでし
ょうか?思いのほか、寒く、雪の多い2月で
したね。ワタシの住んでいる地域でも、一月
に2回も3回も雪が積もるのは珍しかったで
す。3月は、春らしく穏やかな日が増えると
良いですね。
ですが、季節の変わり目。体調管理には十分
ご留意くださいね。そして『マスク、手洗い、
うがい』の感染症対策3点セットも今しばら
くの間はお願いします。睡眠と食事・水分摂
取に注意して、春本番の到来を楽しみに待ち
ましょう。
それでは【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー105。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今回からは④の母子及び父子・寡婦福祉につ
いての振り返りになります。
先ずは、歴史の振り返りから。日本の福祉制
度史として、日本は家制度が根強く、長い間
家族が福祉の中心となっていました。国家が
近代化した明治時代から戦前にかけても同様
で、福祉制度は乏しい状態のままでした。そ
のなかで「家族」という福祉のゲマインシャ
フトが機能しづらい状態の、戦争や災害で夫
を失った女性や子どもたちの生活が困窮した
のは想像に難くありません。
ですが、公的な支援は乏しく、家族という福
祉の支え手を失った人たちには、量的にも乏
しい地域や慈善団体による救済が中心となら
ざるをえませんでした。そして長い戦争を経
て、戦後には多くの戦争未亡人(寡婦)が生
まれました。また、戦後の価値転換により家
制度も崩壊し、従来の家族まかせの福祉では
なく、個人や家族を支援する公的福祉の必要
性が高まりました。その時代の流れで、児童
福祉法や生活保護法が出来たことは既にお話
しましたが、母子及び父子・寡婦福祉も同様
で、生活保護法から遅れる事2年、1952年に
現在の母子及び父子・寡婦福祉の前身となる
「母子保健法」が制定され、母子家庭への生
活援助、住宅支援、職業訓練が法制化されま
した。
これが現代の日本における母子及び父子・寡
婦福祉の第一歩となります。そして高度経済
成長期を迎え女性の社会進出が進み、母子家
庭の自立支援が求められるようになりました。
しかし、依然として「父親が家計を支える」
という社会での価値観が根強く、母子家庭の
経済的困難が続きました。この時代背景下で、
児童扶養手当の創出や、母子保健法が「母子
及び寡婦福祉法」に改正され、母子だけでな
く寡婦への支援の充実を図りました。そして
1990年代を迎え、女性の社会進出はますます
盛んになりましたが、それに半比例するよう
に母子家庭の貧困率の高さが社会的な問題と
なって浮上します。
また、離婚の増加に伴い、父子家庭(母親が
いない家庭)の問題という新たな課題も浮上
しました。これに合わせる形で1998年に「母
子及び寡婦福祉法」は「母子及び父子並びに
寡婦福祉法」へ改正され、父子家庭(ひとり
親の父親)も母子家庭と同様の福祉サービス
を受けられるようになりました。そして現在、
非正規雇用の増加や少子高齢化により、ひと
り親家庭の貧困問題がさらに深刻化していま
す。また、母子・父子ともに「ワーキングプ
ア」が社会的問題視されるようになりました。
ひとり親向けの職業訓練や奨学金制度の充実
や公営住宅への優先入居枠の拡大など、就労
支援や貧困対策を中心に様々な制度が施行さ
れています。
このように、時代の流れや社会の趨勢に応じ
て、様々な母子及び父子・寡婦福祉が制度化
され、支援が行われてきましたが、経済格差
や非正規雇用の増加など、現在進行形の課題
もあり、今後のさらなる支援策が求められて
います。と言うところで、今週はここまで。
次回は、制度面について振り返ります。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆