【ケアマネの自転車奔走記】連載・第558回。
4月も中盤に差し掛かりました。皆様いかが
お過ごしでしょうか?例年ならこれから春も
盛りになってくる時期なんですが、今年は盛
りどころかもはや初夏の勢いのような日も増
えてきています。皆様、こまめな水分補給を
欠かさず、体調管理には十分ご注意下さい。
また、新型コロナについてもTPOに応じた
適切な感染対策を引き続きお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73―12。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今週は日本における保育・児童福祉「8つの
柱」の4番目『児童虐待対策』についてお話
します。かなり前から社会問題化している児
童虐待ですが、年々深刻化していると言わざ
るを得ない状況です。全国の児童相談所の対
応件数は右肩上がりが続き、令和3年度は2
0万件弱となっています。このような現状に
対して、社会保障としての日本の児童虐待対
策はどのような機関でどのように行われてい
るのか?について今回はお話をしていくこと
になります。
まずは①市町村です。市町村は、児童福祉法
において「基礎的な自治体として、児童の身
近な場所における児童の福祉に関する支援に
係る業務を適切に行うことが責務」とされて
います。現に、子どもと家庭に関する第一義
的な相談・通告の窓口は、身近な市区町村が
担うことになっていることからして、児童虐
待対策のいわば最前線の機関と言うべきです
ね。ここでは児童家庭相談に応じて必要な調
査や指導を行うとともに、虐待の発生予防・
未然防止や早期発見・早期対応の取組では中
心的な役割を担っています。
続いて②児童相談所です。前回の社会的擁護
施策の章で児童相談所の役割についてお話し
ましたが、今回の児童虐待対策でも重要な役
割を担っています。2004年の児童福祉法改正
により市町村と児童相談所の役割分担が進め
られた結果、児童相談所はより緊急性が高か
ったり、対応が困難なケースを担当するよう
になっています。なぜかというと、児童相談
所は児童虐待相談対応に関して、保護者の意
に反しても一時保護を行うことができる権限
や、虐待のおそれがある家庭への立ち入り調
査、保護者の同意がない場合に家庭裁判所の
承認のもとで施設に入所する措置や里親に委
託する措置、家庭裁判所への親権停止の請求
など、法に定められた強い権限を有している
からなんですね。
次は③福祉事務所になります。福祉事務所と
は、社会福祉法に規定されている「福祉に関
する事務所」をいい、福祉六法(生活保護法、
児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉
法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)
に定める援護、育成または更生の措置に関す
る事務を司る社会福祉行政機関です。都道府
県と市には設置が義務付けられています(町
村は任意設置)。この福祉事務所も要保護児
童を発見した場合の通告先の一つとされてい
ます。加えて、関係機関が連携して効果的に
虐待事案への対応ができることを目的として
市町村に設置されている要保護児童対策地域
協議会(子どもを守る地域ネットワーク)」
の構成機関でもあります。
次は④保健所です。保健所は、直接的に児童
虐待対策に関わることは少ないですが、主要
業務である母子保健活動において児童や親と
関わることが多く、児童虐待を早期に察知で
きる立場にあることから、児童虐待の発見や
援助及び予防に対しての役割を担っています。
続いて⑤乳児家庭全戸訪問事業です。この事
業は、生後4ヶ月までの乳児のいる全ての家
庭を訪問する事業で、市町村が実施主体とな
り保健師や助産師、母子保健推進員や児童委
員が実際にお宅を訪問して、育児に関するア
ドバイスの提供や乳児の健康状態の把握、家
庭状況の把握を行います。そしてこの事業を
通じて支援が必要とされる対象者を選定して、
子育てについて大きな不安を抱えている家庭
や孤立感を抱えて育児について相談する環境
がない家庭に対して保健師・助産師・保育士
などの専門家、子育て経験者が訪問して必要
な助言や指導などを行うことで児童虐待の発
生防止を併せて図るのが⑥の養育支援訪問事
業になります。
これにて社会保障の面で見た【児童虐待対策】
についてのお話はおしまいとなります。次回
は5番目の【障害児支援施策】になります。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆