【自転車奔走記】第581回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第581回。

9月最後の日曜日、皆様いかがお過ごしでし
ょうか?「暑い暑い」と愚痴っている間に9
月も終わってしまいました。日が短くなった
分、ほんの少し秋の気配らしきものを感じま
すが、いやはやこの暑さではまだまだ夏の延
長のようですね。引き続き熱中症、脱水には
まだまだ注意が必要です。今しばらく万全の
対策で体調管理をお願いします。

また、そろそろインフルエンザや新型コロナ
ウイルスのワクチン接種の話もチラホラ上が
ってきましたので、行政等の情報のチェック
もお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73―34。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週も生活保護制度の根幹的な部分と言える
原理・原則についてお話をします。先週は生
活保護制度の制度と運用上の基本的な考え方
である4つの原理についてお話をしました。
今週は、制度を実施する際に守らなければな
らない基本的「原則」についてお話をします。

この原則も4つの原理にと同様に「4つの原
則」と呼び習わされています。また、それら
の原則が生活保護法の条文に対応している点
も、原理と同じですね。では、早速見ていき
ましょう。まずは原則①「申請保護の原則」
です。これは生活保護法の条文をそのまま見
たほうが分かりやすいと思いますので、引用
しますね。

(申請保護の原則)生活保護法第7条:保護
は、要保護者、その扶養義務者又はその他の
同居の親族の申請に基いて開始するものとす
る。但し、要保護者が急迫した状況にあると
きは、保護の申請がなくても、必要な保護を
行うことができる。(引用元:e-Gov)

この条文の通りなんですが、要は、生活保護
の開始に当たっては、は本人もしくは扶養義
務者(3親等内の直系血族(父母、祖父母、
曽祖父母、子、孫、曽孫)、及び兄弟姉妹、
配偶者であり、かつ受給資格者世帯と生計を
ともに維持する者を指します)からの申請が
必要であるという事です。因みに、扶養義務
とは民法(民法第877条等)によって定め
られている制度で、自らの収入だけでは生活
を成立させることができない親族がいる場合
に、仕送りや現物支給などにより、済的な援
助を行う義務の事です。この義務を果たすの
が「扶養義務者」であり、扶養義務者は、被
扶養者から扶養を請求された場合には、協議
または家庭裁判所の判断により、一定の経済
的援助を行わなければならないと定められて
います(民法第879条)。

そして、この民法の要件がありますので、扶
養義務は生活保護に優先、つまり生活保護の
受給を申請する際には、その前の段階で法的
にまず扶養義務者からの扶養を受ける必要が
あるということになります。生活保護制度の
問題点を論じる際に、保護開始に先立って家
族や親族に連絡が行くことが問題視されてい
ることがありますが、それらはこの「申請保
護の原則」に伴ってのものなんですね。

話しを戻して、次は②「基準及び程度の原則」。
この原則では、生活保護は、厚生労働大臣が
定める基準で測定した要保護者の需要を基と
し、そのうち、その者の金銭または物品で満
たすことのできない不足分を補う程度で行う
というものです。そしてこの「基準」は、要
保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地
域別その他保護の種類により必要な事情を考
えた最低限度の生活の需要を満たすに十分で、
かつ、これを超えてはいけないと定めるもの
です。これは先週お話した4つの原理の4番
目、「保護の補足性」の原理の施行細目的な
ものと考えてもらえればOKです。
そして、こ
の生活保護基準は後述する扶助の基本的枠組
ともなっていて、その基準は5年に一度改定
されるのが原則となっています。

続いては③「必要即応の原則」です。これも
生活保護法の条文を見たほうが分かりやすい
ので、引用します。

(必要即応)生活保護法第9条:保護は、要
保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人
又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有
効且つ適切に行うものとする。(引用:同上)

となっています。要は、生活保護は保護を要
する人の必要性に応じて有効に行われるもの
であって、個人の必要性に拠らない画一的な
給付はダメという意味であると考えて下さい。

そして最後は④「世帯単位の原則」です。こ
れは文面そのままで、生活保護は、世帯を単
位として、必要かどうかの判断や保護の程度
の決定をしなくてはならないという事を定め
ています。個人単位ではなく世帯単位である
という点がポイントですね。但し、特別な事
情がある場合は、個人単位で生活保護が決定
される例外規定もあります。

というところで今週はここまで。
次回は、生活保護制度の「扶助」についてお
話しをします。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆