【自転車奔走記】第694回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第694回。

9月最後の日曜日、皆様いかがお過ごしでし
ょうか?日差しはまだまだ夏の残滓を感じま
すが、空気は秋に変わりましたね。冷房をガ
ンガンかける日々とも、ようやくさよならで
きそうです。

これから季節の変わり目に加えて、日中の寒
暖差が大きくなります。風邪などひかぬよう
健康管理に十分ご配慮をお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー134。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
今週からは「労働衛生」についての振り返り
です。
まずは、公衆衛生と労働衛生の関係に
ついてです。公衆衛生と聞くと、感染症対策
や母子保健、環境衛生などを思い浮かべる方
が多いかもしれませんが、労働衛生も公衆衛
生の大切な柱のひとつとされています。学問
的に公衆衛生は「集団としての人々の健康を
守り、増進するための学問・実践活動」と定
義されますが、そのなかで「働く人々の健康
と安全」に焦点を当てている分野が「労働衛
生」であるとお考えいただければOKです。

厳密に言うと、労働衛生は、労働という人間
の基本的活動に伴う健康リスクを対象とし、
労働者集団を守るための制度や実践活動を展
開することから、労働の場という特殊な環境
における公衆衛生の応用領域と位置づけられ
ているということになります。

続いては、労働衛生の歴史的な経緯を振り返
りましょう。世界史的にみると労働衛生とい
う概念自体、産業革命以降の近代的工業社会
の発展の中で出てきたものなんですが、日本
でも例外ではなく、江戸時代にも鉱山や製造
業に従事する人々の健康被害は存在しました
が、それを体系的に労働衛生として扱う仕組
みはありませんでした。労働衛生の萌芽は明
治維新後の近代化とともに産業労働が急速に
拡大し、工場や鉱山での事故や職業病が社会
問題化していく中で現れていきます。そして
明治30年(1897年)に日本初の近代的労働
法制となる工場法が施行され、労働時間や年
少者・女子労働者の保護が規定されましたが、
対象が大規模工場に限定されるなど、実効性
は少ないと言わざるえ得ないものでした。

その後、1938年(昭和13年)に労働基準法の
前身である労働者保護法、戦後の1947年(昭
和22年)には現行の労働基準法が成立し、労
働条件の最低基準や安全衛生に関する規定が
法的に整備されました。そして高度経済成長
期を経ると、公害や職業病(じん肺、鉛中毒
など)、そして労働災害が深刻化、頻発する
ようになり、労働衛生対策を体系的に強化す
る目的で労働安全衛生法(1972年)が制定さ
れました。この法律により、事業者の安全配
慮義務が明確化され、産業医や衛生管理者の
選任、作業環境測定、特殊健康診断の実施な
どが制度として確立され、現在の公衆衛生と
しての労働衛生施策の基盤となり現在に至っ
ています。

以上、ざっとではありますが労働衛生の歴史
的な経緯を振り返りました。
次回は、公衆衛
生施策としての労働衛生、そして労働衛生の
現代的課題について振り返ります。
それでは皆様、お元気で…
お相手は広森でした!
See You Next Week☆