【ケアマネの自転車奔走記】連載・第580回。
9月も後半戦、皆様いかがお過ごしでしょう
 か?さすがに朝晩は涼しさを感じる日が多く
 なってきましたね。雨の日も多くなり、よう
 やく季節の変わり目を実感しています。ただ、
 日中はまだまだ夏の延長のような暑い日が続
 くようです。熱中症、脱水にはまだまだ注意
 が必要。今しばらく万全の対策で体調管理を
 お願いします。また、風邪が流行っているよ
 うですので、そちらの対策も万全に!
 では【自転車奔走記】はじまります。
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 たきび版:介語苑・73ー33。
【語句】
 社会保障(制度)
【意味】
 「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
 国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
 う制度(セーフティネット)。
【解説】
 今週からは、日本の公的扶助の①「生活保護
 制度」についてお話をしていきます。
生活保護制度とは、国民の生存権を保障して
 いる日本国憲法第25条(注1)に基づいて健
 康で文化的な最低限度の生活を保障し、生活
 の自立の助長を図るために、経済的に困窮す
 る人に対して国が保護(給付)を行う制度で
 す。つまり、生活保護制度は公的扶助で言う
 ところの「貧困者対策」であり、その制度は
 国には責務として、国民には権利として憲法
 で保障されているということになります。
※注1)日本国憲法第25条・すべて国民は、
 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を
 有する。②国は、すべての生活部面について、
 社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び
 増進に努めなければならない。(e-Gov引用)
さて、その生活保護制度には、制度そのもの
 と制度運用上の基本的な考え方である「原理」
 と、制度を実施する際に守らなければならな
 い基本的な「原則」が定められていて、それ
 らに則って制度が適用・運用される決まりと
 なっています。この原理・原則は生活保護制
 度では根幹と言っていい部分ですので、これ
 から少々詳しくお話をしていきます。
まずは「制度の原理」から。この原理は通称
 「生活保護法の4つの基本原理」と呼ばれて
 いて、生活保護法の第1条から4条で定めら
 れているものがそれにあたります。早速その
 内容を見ていきましょう。
まずは基本原理①「国家責任の原理」から。
 この原理は、生活保護法の目的を定めた最も
 根本的な原理で、憲法第25条の生存権を実現
 する為、国がその責任を持って生活に困窮す
 る国民の保護を行うということを示していま
 す。因みに、生活保護法では第1条(この法
 律の目的)として規定されています。
続いては基本原理②「無差別平等の原理」。
 これは、保護を要する人の生活の困窮に陥っ
 た原因や性別、社会的身分に関係なく、法律
 が定める要件を満たしていれば誰でも差別さ
 れることなく平等に保護を受けることができ
 るというものです。生活保護法(以下「同法」
 と呼びます)では第2条(無差別平等)とし
 て規定されています。
続いて③「最低生活保障の原理」。同法では
 第3条(最低生活)と規定されていて、保障
 される最低限度の生活水準とは、健康で文化
 的な最低限度の生活を維持できるものでなけ
 ればならないというものです。一見分かりや
 すそうな文言ですが、よく考えてみるとこの
 「健康で文化的」という文言が抽象的かつ国
 民それぞれの生活の価値観を内包しているの
 で、そもそも一律に規定できるようなもので
 はないですよね。そしてその上で、この条文
 は私達一人一人に「『健康で文化的な生活』
 とはどんな生活?」と問いながら、国民の総
 意としての「健康で文化的な生活」を定めよ
 うとしているようなものですので、曖昧とい
 うか、価値観の相違による軋轢や葛藤を生み
 やすいものになっているな…と言うのがワタ
 シの正直な感想です。
そして最後は④「保護の補足性の原理」です。
 この原理は、生活保護を利用するためには利
 用可能な資産や働く能力、その他のあらゆる
 手段をまず活用し、それでもなお生活を営む
 ことが困難である場合に生活保護制度が不足
 分を補う(補足性)という事を定めています
 (例外規定あり)。今までの3つの原理が国
 に要請されるものであったのに対して、この
 原理は保護を受ける側の国民に要請している
 という点がポイントになりますね。この原理
 は生活保護法第4条(保護の補足性)として
 規定されています。
以上が生活保護の4つの原理となります。
 というところで今週はここまで。
 次回は「4つの原則」についてお話します。
 では、またお会いしましょう。
 お相手は広森でした!
 SEE YOU NEXT WEEK☆



