【ケアマネの自転車奔走記】連載・第526回。
8月最後の日曜日です。皆様、いかがお過ごしで
しょうか?先週くらいから、空気が秋を感じさせ
るものになってきたような気がします。今年の夏
も猛暑で大変でしたので、秋の到来が待ち遠しい
ですね。ですが、まだまだ残暑は続きます。もう
暫くの辛抱!引き続きこまめな水分補給や室温管
理など、脱水症や熱中症の予防をしっかりお願い
します。そして新型コロナウイルス感染症につい
ても、手洗い、マスクの適切な着用、密回避、こ
まめな換気など基本的な感染予防対策をしっかり
行い、自治体の情報も参考にしながら引き続き感
染予防にお努め下さい。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-29。
【語句】
睡眠障害
【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や
過眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。
【解説】
今週は睡眠の質の評価についてお話します。前回は
(良い睡眠・悪い睡眠)について定量的に評価する
ことは困難である事についてお話しました。睡眠の
主観的評価と客観的評価との乖離の存在や、睡眠の
もつ多面的な評価ポイントが定量的な評価を難しく
しているという内容です。つまり、大上段に構えて
『人間にとって良い睡眠とは◯◯である!!』と哲
学的公理のようにいう事は難しいという事です。で
すが、睡眠と睡眠に関する様々な問題を考える際に
は何らかの評価指標が必要なことも確かですよね。
そこで提唱されているのが、評価の方向性を『健康
的な生活』という観点に絞り、その視点で睡眠の質
を評価するということです。この視点で睡眠は、単
に「眠る」という生理現象ではなく人間の活動の一
部として、日中活動と連続して行われる睡眠という
活動として捉えることになります。この視点では良
い睡眠(という活動)ができるから良い覚醒(とい
う活動)ができるという因果律的な関係性の構築が
でき、そしてその因果の包含的帰結として「健康的
な生活」があるとも考えられ、健康的な生活という
視点での睡眠の質というのは、覚醒している時の質
と同義になるという事になります。良い睡眠を取る
ことで良い日中活動ができ、そのサイクルが健康的
な生活を送るうえでの重要な要素になるという事で
すね(いわゆる「健康睡眠」という考え方で『安定
した睡眠と日中の健全な行動が出来ること』とされ
ています)。
では、その指標について見てみますが、厚生労働省
が提唱した実際の指標はかなり学問的な文言が多い
ので、要約したものをお話します。
〇規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて昼
夜のメリハリがはっきりとしている。
〇必要な睡眠時間がとれており、日中に眠気や居眠
りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせる。
〇途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得
られる。
〇朝は気持ちよくすっきりと目覚める。
〇目覚めてからスムーズに行動できる。
〇寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入
眠できる。
〇睡眠で熟眠感が得られる。
〇日中、過度の疲労感がなく満足度が得られる。
以上が睡眠の質の評価の指標となります。これらの
指標を読んでみると、確かにこのような睡眠ができ
れば快適だろうな・・・とは思いますね。ですが実
際のところはどうでしょうか?健康な生活という考
え方においては睡眠と覚醒の質は同義であり、健康
な生活を送るために睡眠は非常に重要な役割を果た
していることは分かるとしても、実際の社会生活で
は覚醒時の活動がメインで睡眠はどちらかと言えば
裏方的な部分ですよね。また、集団で社会を構成し
運営する人間(社会学的な意味で)にとって、社会
的な個が主体的な個に優先してしまうことは往々に
して存在します。つまり、先ほど挙げた評価の指標
を単純に私達の日々の生活に適用することはそう単
純ではないということなんですね。
次回はそのことについてお話をします。
では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!