【ケアマネの自転車奔走記】連載・第520回。
7月最初の日曜日、皆様いかがお過ごしでしょうか?
まさかまさかの梅雨明けでしたね( ゚Д゚)。梅雨明けと
同時に猛暑日に近い暑さの毎日です。皆様、くれぐれ
も熱中症や脱水症には十分お気をつけてお過ごしくだ
さい。また、一部地域では電力事情により節電の呼び
かけがなされていますが、重要なのは『エアコンなど
の冷房機器は節電の対象外!』という事。政府も、冷
房はしっかり適切に行って熱中症を予防するよう呼び
かけをしていますので、ご留意くださいね。また、新
型コロナについても引き続き必要な対策を毎日の生活
の中でしっかり続けていただくようお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-23。
【語句】
睡眠障害
【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や過眠
症、中途覚醒や入眠障害などがある。
【解説】
今週はナルコレプシーの症状についてお話します。ナル
コレプシーの症状は通常、青年期から若年成人期にかけ
て現れて、その後はその症状が生涯続きます。ただ、今
からお話するようなすべての症状が現れるナルコレプシ
ーの患者さんは全体の一部で、大部分はいくつかの症状
が出るだけです。また、日中の過度の眠気はすべての人
に生じるとされています。では具体的な症状について見
ていきましょう。
(1)「日中の過度の眠気」はナルコレプシーの患者さ
んすべてに生じる症状です。日中に過度の眠気を生じる
症状ですが、多くの場合は長期間にわたって過分な睡眠
をとっても、眠気が軽減しないのが特徴です。この眠気
の発生経緯も特徴的で、ナルコレプシーの患者さんの多
くの人は、時刻を問わず前触れもなしに生じるコントロ
ールできない突然の眠気(「睡眠発作」と呼ばれていま
す)に襲われ、眠らずにいようとしてもごく短時間で眠
りに落ちてしまいます。つまり「眠い」と感じてからほ
ぼすぐに眠りに落ちてしまうという事です。この発作は
1日に何度も起こることもあれば、2、3回しか起こらな
いこともあります。また、1回の発作の持続時間(眠っ
てしまう時間)は通常2~3分以下ですが数時間続くこと
もあります。目覚めるときは通常の睡眠と同じくすぐに
目が覚め、たとえ2~3分しか続かない発作でも、目が覚
めるとすっきり感じられるのが典型的です。
ですが、一度寝たので暫くは大丈夫かというとそうでも
なく、その数分後にはまた発作がおきて、眠りに落ちて
しまうこともあります。この睡眠発作が最も起こりやす
いのは、会議や高速道路で長時間運転しているときなど、
単調な状況におかれたときですが、食事や会話中、何か
を書いているときなど神経を集中して作業に当たってい
る時にも起こることがあります。
続いては(2)「情動脱力発作」と呼ばれるものです。
日中の覚醒しているときに怒り、恐怖、喜び、笑い、驚
きなどの突発的な感情が引き金となって、意識消失を伴
わない突然の筋力低下が起こるものです。この発作が起
こると、急に「ぐにゃり」と腰が抜けたり、持っている
ものを落としたり、時には倒れたりします。身体的には
顎が垂れ下がり、顔の筋肉がひきつり、眼が閉じ、うな
づくように頭が動きます。また、話し方が不明瞭になる
こともあります。この脱力状態は、通常のレム睡眠中に
みられる筋肉の麻痺とよく似ていています。身近な例で
は、「笑い過ぎて力が抜けた」状態にもやや似ていると
言われています。この情動脱力発作がみられるのは、ナ
ルコレプシーの患者うち4人中3人未満でとされ、多くの
患者さんに症状が見られます。
次は(3)の「睡眠麻痺」という症状です。ナルコレプ
シーの患者さんは、ときに、入眠の前後や起床直後に体
を動かそうとしても動かせなくなることがあります。巷
間でよく聞く『金縛り』に近いかもしれません。この睡
眠麻痺と呼ばれるこの体験は、患者さんにとって恐ろし
く感じられることもありますが、誰かに体に触れてもら
うと麻痺が治まることがあります。また、そうでなくと
も麻痺は数分後で自然に治まります。この睡眠麻痺はナ
ルコレプシーの患者の約4人に1人にみられるそうです。
ときには健康な小児や、頻度は下がりますが健康な成人
にもみられることがあります。続いて(4)「幻覚」の
症状です。ナルコレプシーの患者さんは、寝入る前後や、
頻度は下がりますが目覚めるときに、実際には存在しな
い映像や音が鮮明に見えたり聞こえたりすることがあり
ます。これらの極めて鮮明な幻覚は、正常な夢に似てい
ますが、もっと強烈な印象を患者さんに与えるくらいの
生々しさを持っています。
因みにこの幻覚は(1)入眠時幻覚(寝入りばなに起こ
るもの)と(2)出眠時幻覚(目が覚めたときに起こる
もの)に分けられ、そのうち入眠時幻覚は、ナルコレプ
シー患者の約3分の1にみられますし、健康な小児でもよ
くみられ、ときに健康な成人にみられることもあります。
さて、今までお話してきたこれらの症状がナルコレプシ
ーの症状ですが、この様な症状が日常的に現れると、当
然ですが日常生活に支障をきたすようになります。症状
が持続することで、患者は集中力が低下し、やる気も失
われ、場合によっては抑うつ状態になることもあります。
また、学業や会社などの社会生活や家族関係などに問題
を生じる場合もあります。さらに、突然の睡眠発作は怪
我や事故を誘発する可能性が高く、例えば運転中に眠り
込んでしまった場合などは特に危険です。大変な病気で
すよね。では、ナルコレプシーの治療は実際どのように
行われているのか?について、次回お話をしますね。
では最後になりますが、暑い日が続きますので熱中症対
策、脱水症対策はくれぐれも万全にお願いします。
では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!