【自転車奔走記】第502回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第502回。

2月も終盤に差し掛かりました。皆様いかがお過ごし
でしょうか?
冬季オリンピック競技の興奮冷めやらぬ
毎日ですが、新型コロナの感染も引き続き厳重な警戒
が必要です。感染対策の肝は個人個人の地道な感染予
防対策です。基本的感染症対策①こまめな手洗い②換
気③密の防止④不要不急の外出を控える、これらの対
策の徹底を続け、感染の拡大を防ぎましょう!

また、コロナ対策も大事ですがヒートショックや冬場
の脱水症、そして転倒など高齢者の事故も要注意です。

もうすぐ3月、春は目の前で寒い冬ともようやくお別
れですが、引き続き十分な注意をお願いしますね。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-7。

【語句】
睡眠障害

【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や過眠
症、中途覚醒や入眠障害などがある。

【解説】
今週は体内時計についてのお話です。「体内時計」とい
う言葉、皆さんも一度は耳にしたことがあると思います
が、実際はどのようなものなのか?についてまずお話を
します。

地球上のおおよそすべての生物には、地球の自転による
24時間周期の昼夜の変化に同調して、ほぼ1日の周期で
体内環境を積極的に変化させる機能が備わっております。
高性能な生体タイマーみたいですが、人間においても体
温や体内のホルモン分泌など身体の基本的な機能は、約
24時間周期のリズム(「概日リズム」と呼ばれます)を
示すことがわかっています。このヒトの概日リズムは光
や温度変化のない条件下で安静を保った状態においても
認められる、つまり日の出や日の入り、気温の変化や外
界環境の変化など、一日の変化が感じられない場所でも
おおよそ24時間のリズムを刻むことから、ヒトを含め生
物はその体内に時計に類する機能をもっていることにな
り、これが「体内時計(生物時計)」と呼ばれるものな
のです。

ちなみに哺乳類の体内時計は脳の中心部下面にある視床
下部の視交叉上核というところに存在することも分かっ
ています。また、ヒトの体内時計の周期は24時間よりも
若干長いため(約25時間の周期とも言われます。また周
期が短い人も少数ながらいます)、体内時計の機能発動
のタイミングを外界の24時間の明暗周期(昼と夜の入れ
替わり)に一致させる同調機構も備わっています。この
機構によって地球の公転による日長時間の季節変化(日
の長さが変化していくこと)や、時差地域への急速な移
動にともなう明暗周期の変化(いわゆる「時差ぼけ」と
いうものです)に体内時計を一致させることができます。

まるで電波時計のような機構ですよね!人間を含む哺乳
類では網膜から体内時計への直接の神経繊維連絡があり、
この神経連絡により目から入った明暗環境の情報が体内
時計に伝達され、人間においては、朝の強い光は体内時
計を早める方向に、夜の光はこれを遅らせる方向に働き
ます。この精巧な体内時計機能により、ヒトを含め多く
の生物が一日のリズムの中で様々な生体活動を行ってい
る訳なんですね。ところで、この体内時計はなぜ24時間
周期を形作ることができるのでしょうか?最近の分子生
物学研究から明らかになったところによれば、体内時計
細胞では幾つかの遺伝子(時計遺伝子)が存在し、この
遺伝子活動により時計蛋白を合成し、それらが相互に結
合しまた分解される、といった活動を約24時間周期で繰
り返すことで体内時計の概日リズム信号が生じているよ
うです。まるで、水晶の振動により発振する一定周波数
の電気信号を利用することで正確に時を刻むクオーツ式
の時計のメカニズムのようですよね!

余談ですが、この時計遺伝子の活動についての研究が2
017年のノーベル医学・生理学賞を受賞したことを覚
えている方も多いと思います。さて、このような体内時
計のメカニズムが睡眠とどのように関わっているか?に
ついては次回のお話で。
では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!