【自転車奔走記】第684回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第684回。

7月も後半戦の日曜日、皆様いかがお過ごし
でしょうか?7月でこの暑さ!8月はどうな
るやら…と、暑さが大の苦手な私は、今から
戦々恐々としています。皆様、熱中症、脱水
症には最大の警戒を保ってお過ごし下さい。
適切な室温管理、水分補給、休養など対策を
しっかり取れば予防できるものです。熱中症
や気温の情報を必ずチェックして、元気に夏
をお楽しみ下さいませ。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー124。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
公衆衛生における「災害・新興感染症・危機
対応関連」の振り返り、今週は「新興感染症」
分野です。猛威を振るった新型コロナウイル
ス感染症のことは未だに記憶に新しいですが、
過去にはSARS(重症急性呼吸器症候群)、
H1N1(インフルエンザ)、MERS(中東呼
吸器症候群)などの感染症が大きな社会的影
響や関心を集めてきました。新興感染症とは
「この20~30年の間に新しく認知され、局
地的あるいは国際的に公衆衛生上の問題とな
る感染症(WHO)」と定義されているよう
に、私たちにとって未知、或いは既知でも症
例が少ないため、感染が広がると大きな健康
上の脅威となります。

そして、感染症の拡大は、健康だけでなく社
会生活にも多大な影響を与えることは、私た
ちも十分経験済ですよね。そこで、公衆衛生
の分野では、このような新興感染症について
どのような対策や対応が取られているが?を
振り返えるのが今週のテーマです。大きく5
つに分けることができますので、早速見てい
きましょう。最初は①「制度・法律の整備」
です。現在の日本では、「感染症法(感染症
の予防及び感染症の患者に対する医療に関す
る法律)」と「検疫法」が主なものとして整
備されています。感染症法では、感染症を分
類(1類〜5類・新型インフルエンザ等感染症
・指定感染症など)し、それぞれのランクに
基づいて、必要な報告・隔離・検疫措置など
が定められています。「検疫法」では、水際
対策として海外からの感染症流入を防ぐため、
空港や港湾での検疫体制の整備が定められて
います。

そしてこれらの法律に基づいて②監視体制
(サーベイランス)が取られます。具体的に
は、「感染症発生動向調査」として、全国約
3000か所の定点医療機関からデータを収集
し、厚生労働省がリアルタイムで感染拡大の
兆候を把握することができます。そして得ら
れたデータは、国立感染症研究所(病原体の
研究、解析、ワクチン開発支援などを担う中
核機関)や地方衛生研究所(地域の病原体検
査や疫学調査を担い、地域保健所と連携)に
集められ、分析や解析がなされる体制が作ら
れています。

そして、③「対応体制」も平時から整備され
ています。具体的には「新型インフルエンザ
等対策政府行動計画」というものがあり、新
興感染症が発生した際の政府、地方自治体、
医療機関の役割と行動があらかじめ定められ
ています。因みに私たち介護・福祉の事業所
も「感染症BCP」という、感染症発生時も継
続して事業を実施するための行動計画を平時
から準備しています。話を戻して…、この政
府行動計画では、主に感染症指定医療機関
(特定・第1種・第2種)の整備や感染症患者
の入院調整・医療資源の確保など医療体制の
確保が明記されています。

④「ワクチン・治療薬の開発支援」も重要な
分野です。新型コロナウイルス感染症で経験
したように、有効なワクチンや治療薬の開発
と普及は、事態の早期収束のために必要不可
欠なピースですよね。日本ではAMED(日本
医療研究開発機構)を中心にワクチン・治療
薬・診断薬の開発が官民連携のもと行われる
ことになります。また、令和5年には緊急使
用承認制度が施行され、パンデミックなどの
非常時に、薬剤の承認が迅速に行われるよう
になりました。

最後は⑤「国際連携」になりますが、WHO
をはじめ、必要に応じて各国の感染症研究機
関と連携して、情報共有、技術協力やグロー
バルな感染症対策にも参画しています。この
ように日本の新興感染症対策は、新型コロナ
ウイルス感染症での経験を糧として、常にブ
ラッシュアップされながら様々な分野で不断
に推進されています。
というところで今週はここまで。
次回は「危機対応関連」を振り返ります。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆