【自転車奔走記】第671回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第671回。

4月も後半戦を迎えた日曜日、皆様いかがお
過ごしでしょうか?今年の4月はやや天候が
不安定ではありますが、総じて例年以上に暖
かな日が多い印象があります。現時点でエル
ニーニョ現象やラニーニャ現象の発生はない
ようですが、今がこれだけ気温が高いという
ことは、今年の夏もかなり暑くなりそうな予
感..ですね。

さて皆さん、水分補給はしっかりとされてい
ますでしょうか?そろそろ初夏の風も感じる
ようになりました。万全の体調管理で晩春を
楽しんで下さい。
それでは【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー112。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
 今週からは③「母子保健」について振り返り
ます。
少子化、そしてそれに伴う人口減少が
増々進行してく現在。非常にホットな分野に
なります。少しだけ気合を入れてお話をして
いきますね。では、早速日本の母子保健(制
度)の概観から振り返ります。

日本における母子保健制度は、乳児死亡を減
少させることを最大の目標にスタートしまし
た。その第一歩が昭和 12 年制定された「保
健所法」で、同法で母子保健が保健所の重要
な事業とされます。そして昭和 17 年には、
母子健康手帳の祖である妊産婦手帳制度及び
妊産婦登録制度が世界で初めて創設され、妊
娠の早期届出や、妊婦の健康管理が図られる
ことになりました。そして戦後、母子手帳が
制度化されるなど一定の発展はありましたが、
当時はあくまで児童福祉法の一環としての制
度で、母子の健康保持・増進そのものが目的
化・体系化されていなかったという問題点が
ありました。また、母体保護を目的として成
立した優生保護法も、優生手術に代表される
人権侵害や差別など多くの問題を孕んだもの
でした。
ちなみに当時の状況として、乳幼児
の死亡率や栄養状況は地域の格差が大きく、
妊産婦の死亡率は諸外国に比べ高いなど、改
善すべき母子保健上の課題がいくつもあった
ことを申し添えておきます。

さて、これらの状況や課題について、制度と
しての進展は昭和40年の「母子保健法」の成
立から始まります。この母子保健法により、
母性の保護や、乳幼児が健全な成長を遂げる
上で必要不可欠な保健の充実を目的に制定さ
れ、児童と妊産婦のみならず妊婦になる前か
らの健康管理を含めた総合的な母子保健対策
(健康診査や保健指導等)が推進されていき
ます。いわば日本における母子保健の第2の
スタート地点とも呼べますね。これ以降は少
子化の進行や女性の社会進出を背景に、制度
は社会の変遷やニーズに合わせてより細やか
な支援へと発展していきます。例えば平成6
年には「エンゼルプラン」が策定され、母子
保健と子育て支援の一体的な推進が図られま
した。これにより、地域の保健センターや保
健師を中心とした育児支援が強化され、それ
はやがて現在の「子育て世代包括支援センタ
ー」へと繋がっていく流れを作るものでした。

そして現在、現行の制度では、妊婦健診の費
用補助、妊娠届出時の面談や健康相談、出産
後の新生児訪問、乳幼児健診、予防接種のス
ケジュール管理など、妊娠から育児初期まで
切れ目のない支援が用意されています。さら
に、子ども家庭庁の設立により、母子保健を
含む子どもと家庭に関する政策の一元的な運
営が可能にとなり、制度のすき間をなくし、
必要な支援をより確実に届ける体制が整いつ
つあります。

このように社会のニーズに合わせて進化して
きた日本の母子保健(制度)ですが、現代な
らではの新しい課題や、現行制度下において
解決すべきニーズがたくさん残っているのも
事実で、これらの課題や将来の展望をしっか
り見据えて、誰もが安心して妊娠・出産・育
児できる社会の実現が求められています。
というところで今週はここまで。
次回は、母子保健を制度面から振り返ります。

では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆