【ケアマネの自転車奔走記】連載・第649回。
11月最初の日曜日。皆様いかがお過ごしで
しょうか?今日は三重県民にとっての秋の風
物詩ともいえる第56回全日本大学駅伝の開催
日です。津市の中心部である国道23号線を
ランナーが駆け抜ける様、中継所での白熱し
た襷の受け渡しなど見所は満載。今年は地元
からの出場もあり、大いに盛り上がります!
10月中も続いた暑さはだいぶん落ち着いて
きて、日中も過ごしやすくなりました。です
が、季節の変わり目、体調を崩さないよう体
調管理は万全にお願いします。インフルエン
ザ、新型コロナウイルスのワクチン定期接種
もお忘れなく。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー89。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今週も引き続き日本の公害対策について、今
回は公衆衛生の視点からお話をします。日本
の公害対策は、公衆衛生の視点から見ると地
域社会の健康保護や疾病予防において非常に
重要な役割を果たしてきました。特に1960年
代から1970年代にかけての高度経済成長期に
深刻な公害問題が表面化し、多くの地域で深
刻な住民の健康被害が発生しました。その経
験を踏まえて、日本は公衆衛生の分野で様々
な公害対策を実施し、強化しながら現在に至
っている訳です。
では、日本の公害対策について公衆衛生上の
重要なポイントをいくつか挙げてみます。ま
ずは①【健康被害の防止と調査】です。公害
問題により、四日市ぜんそく(大気汚染)水
俣病(水銀汚染)イタイイタイ病(カドミウ
ム汚染)など、深刻な健康被害が発生した歴
史があります。これに対し政府は住民の健康
調査を実施し、公害が人体に与える影響の科
学的な解明を図ります。そして、これらの調
査をもとに住民の健康保護を目的とした適切
な対策を講じることで、新たな被害の発生や
さらなる拡大を防止します。
続いては②【規制と基準の強化】です。これ
は、公害の原因となる物質や現象の発生を抑
えることが目的の施策になります。例を挙げ
ると、1967年制定の「公害対策基本法」は、
公害防止に向けた法的枠組みを提供しました。
その後、1970年代に「大気汚染防止法」「水
質汚濁防止法」などが制定され、企業や自治
体に対して厳しい排出基準が設定されること
になり、これによって大気や水質の汚染が減
少し、住民の健康が守られるようになったと
いう事がありました。
さらに続いて③【環境モニタリングとリスク
管理】です。公衆衛生の視点からは、環境モ
ニタリングが重要です。日本では、国や自治
体が大気、水、土壌などの環境データを継続
的に監視し、汚染の兆候を早期に発見し対応
するシステムが整っています。このようなリ
スク管理の仕組みによって、公害が住民の健
康に影響を与える前に対策が取られるように
なり、公衆衛生の増進に寄与している訳です。
続きまして④の【環境教育と住民の意識向上】
も重要な視点です。公衆衛生を守るためには、
住民の理解と協力が不可欠です。日本では学
校教育や地域活動を通じて、環境問題に対す
る意識を高める教育が行われており、住民自
身が環境保護に関わる姿勢が促進されていま
す。これは、将来的な公害発生の抑制にもつ
ながる公衆衛生上の重要な取り組みですね。
最後は⑤【健康被害救済制度の充実】。公衆
衛生の観点からみると、公害による健康被害
を受けた人々を救済、つまり事後を救済する
制度も重要です。日本では「公害健康被害補
償法」などが整備され、公害によって健康被
害を受けた住民に対する医療費の補助や補償
が行われています。これにより、健康被害を
受けた人々の治療や健康の回復、そして生活
の質を守ることができました。このように日
本の公害対策は、公衆衛生の視点から見ても
非常に効果的な役割を果たしていて、地域や
住民の健康を守るための重要な施策が展開さ
れてきました。過去の深刻な公害問題を教訓
に、法律、規制、モニタリング、教育、救済
制度など多方面にわたる対策が行われ、公衆
衛生の向上と持続可能な環境保護が過去、そ
して現在も進められているんですね。
というところで今週はここまで。
次回は公衆衛生の最後⑩「労働衛生」につい
てお話します。では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆