【自転車奔走記】第518回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第518回。

6月も終盤に差し掛かった日曜日、皆様いかがお過
ごしでしょうか?
今年はなぜか東海地方の梅雨入り
が局所的に遅れているみたいですね。以前お話した
ラナーニャ現象の影響か、はたまた2017年8月
から続いている黒潮の大蛇行が影響しているか、或
いは地球規模の気候変動によるものなのか…。いず
れにせよ、気候や気象は以前に比べてますます予測
しづらいものになっているような気がします。大雨
による災害の対策はもとより、食中毒や熱中症、そ
して新型コロナについて必要な対策を毎日の生活の
中でしっかり続けていただくようお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-21。

【語句】
睡眠障害

【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や過
眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。

【解説】
今週は内因性の「概日リズム睡眠障害」についてお話
します。このタイプは先週お話した時差障害や交代勤
務障害とは違い、睡眠の質は正常で、長さも24時間の
概日リズムを保っています。問題は、この睡眠・覚醒
サイクルと本人の社会的生活にとって望ましいまたは
必要な起床時間が「同期していない」という点にあり
ます。身体のサイクルに従って生活できるのであれば、
その方には何の症状も認められませんが、学校や会社
など私達が日常の社会生活を営む場合には、そのサイ
クルのずれが原因で様々な問題が発生することになり
ます。

では、どのような種類があるか見ていきましょう。最
初は「睡眠・覚醒相後退障害」と呼ばれるタイプです。
このタイプの患者さんは、就寝・起床時間が極端に遅
くなるのが特徴で、いわゆる遅寝遅起きと言われるも
のですね。このパターンは思春期から若年成人層に多
くみられ、通学や通勤のために早起きをしなければい
けませんが、患者さんの睡眠サイクルにとっては自然
覚醒ではなく睡眠途中で無理やり起きて活動を行うこ
とになり、当然ですが日中過度の眠気が生じたり、学
業や仕事の不振や遅刻など、様々な不調や問題が生じ
ます。また、この睡眠相後退症候群の患者さんは、早
く寝ようと思っても眠れないという点も特徴として挙
げることができます。

次はこの逆のパターンである「睡眠・覚醒相前進障害」
とよばれるタイプです。極端な早寝早起きを特徴とし
て、夕方から早晩に眠気が出現し、早朝に目が覚めて
しまいます。一見、学校や会社などの社会生活に影響
はなさそうですが、極端な早寝は家族内での夜の団欒
に参加できなかったり、友人たちとの交流ができなか
ったりして、社会的交流の部分で問題が生じます。ま
た早起きも極端になると周囲が寝静まっている内から
一人目が覚めてしまう結果となります。このタイプの
患者さんの多くは家族や友人の生活と乖離が生じるこ
と、つまり家族や友人たちとの交流の輪から外れてし
まうこと、孤独感や孤立感といったものに苦痛を感じ
るケースが多いんです。因みに、前述の後退障害とは
逆にこの前進障害の多くは高齢者で、加齢に伴う体内
時計の機能変化が関係すると考えられています。

続いては「非24時間睡眠・覚醒リズム障害」とよばれ
るタイプです。このタイプは、毎日30分から1時間程
度、睡眠~覚醒リズムが後退していくのが特徴です。
本来、人間の体内時計の周期は24時間より少し長く設
定(約25時間)されており、主に朝の太陽光が体内時
計に作用して、周期の差から生じるズレを調整してい
ます。ですがこのタイプの場合は、同調機能が何らか
の原因で損なわれて体内時計の本来の周期に従った25
時間の睡眠~覚醒リズムが現れることで、すこしずつ
時間がずれていくのが病気の本態と考えられています
(単純に計算すると25日目ごとに同調することになり
ます)。この障害患者の多くは重度の視覚視覚障碍者
(全盲)で、網膜が機能を失い光が体内時計に届かな
いことでこの非24時間睡眠・覚醒リズム障害が生じま
す。視覚障害がない場合は、睡眠・覚醒相後退障害の
病歴があり、太陽光が届きづらい室内環境で長時間生
活していると生じやすいと考えられています。

というところで、今週のテーマ「非24時間睡眠・覚醒
リズム障害」はおしまいです。
次回は最後⑧の「中枢性過眠症」についてお話します。
では、また来週お会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!