【自転車奔走記】第646回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第646回。

明日は「スポーツの日」の日曜日。皆様いか
がお過ごしでしょうか?朝晩はかなり秋らし
くなってきましたね。「秋らしい」といえば、
今月に入ってからようやく彼岸花を見かける
ようになりました。彼岸花を見て秋の訪れを
感じるワタシ。ただ、当の本人がまだ衣替え
をしていないという…。

日中も幾分過ごし易くなってきましたが、ま
だまだ気温が高い日もあります。暦では秋と
は言え、暑い日には熱中症対策はしっかりお
願いします。また、寒暖差が大きくなってき
ますので体調管理は万全にお願いします。そ
して防災対策も忘れずに!
では【自転車奔走記】はじまります!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
たきび版:介語苑・73ー86。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週からは⑧【糞尿塵芥処理】について公衆
衛生の視点からです。糞尿や塵芥(ごみ)の
処理と公衆衛生は、非常に密接な関係がある
のはご承知のことだとは思います。いわゆる
「生活廃棄物」について適切な処理がされな
い場合、さまざまな感染症の蔓延や健康被害、
環境汚染を引き起こす、あるいはそのリスク
が高まることが主な理由ですね。では、具体
的にどうなのか?両者の関係についもう少し
て詳しく見てみましょう。

最初の視点は(1)「感染症の予防」です。
糞尿や塵芥が適切に処理されないと、病原体
や有害物質が環境中に拡散し、人々の健康に
悪影響を与えることはよく知られている…と
いうか人間社会が長い歴史のなかで身をもっ
て体験してきた事柄です。糞尿には、コレラ、
赤痢、腸チフス、寄生虫症などの病原菌やウ
イルスが含まれていることがあり、適切に処
理しないと水源や食品が汚染され、感染症の
蔓延を引き起こします。また、未処理のごみ
は、ネズミやハエ、蚊などの媒介する感染症
(例:デング熱やハンタウイルスなど)を引
き起こす可能性があります。

そしてさらに深刻な問題である(2)の「環
境汚染と健康被害」の視点です。糞尿やごみ
が適切に処理されないと、大気、水、土壌な
どの生活環境に汚染が生じ、それらが原因と
なって私たちの健康な生活、即ち公衆衛生に
悪影響を及すことになります。糞尿の不適切
な処理は河川や地下水汚染を引き起こし、飲
み水が汚染されることによる健康被害が懸念
されます。

また、これにより漁業や農業にも影響を与え、
私たちの生活、特に食の安全性にも重大な懸
念が生じることになりますね。また、ごみ焼
却施設が不適切な管理下にあると、有害な大
気汚染物質(ダイオキシンや微小粒子状物質
PM2.5など)が発生し、呼吸器系の疾患や癌
のリスクが高まります(因みに、日本では焼
却技術の高度化により、このリスクが大幅に
低減されています)。また、近年問題になっ
ているゴミの不法投棄による土壌汚染、環境
汚染も深刻な公衆衛生上の問題と言えますね。

次の視点は(3)「都市の衛生環境の向上」
です。適切な糞尿処理やごみ収集が行われる
ことで、悪臭や景観の悪化を防ぐだけでなく、
病気の媒介となる害虫や細菌の増殖も抑えら
れます。つまり都市や住宅地の清潔さが保た
れ、住民の健康が守られるということです。
これは公衆衛生上の重要な視点ですね。因み
に、これは本来的に生活環境の問題で都市部
に限ったお話ではないんですが、都市、或い
は都市化が進む地域では人口密度が高く廃棄
物が増えるため、迅速で効率的な処理が不可
欠であることが「都市の環境衛生」とした理
由です。

そして最後の視点は(4)「災害時における
公衆衛生」です。地震や洪水などの災害が発
生した際には、通常の糞尿やごみ処理システ
ムが機能しなくなることがあります。この場
合、適切な仮設トイレの設置やごみの一時的
な収集方法がないと不衛生な環境が生じ、感
染症の発生リスクが非常に高まります。日本
では、災害時に備えた衛生対策が整備されて
おり、これが災害時における公衆衛生の維持
に重要な役割を果たしています。因みに、近
年では「平時」と災害などの「非常時」を分
けて考えるのではなく、平時も非常時も【地
続き】として考えることが主流です。特に社
会の基礎インフラと密接な関係がある公衆衛
生の問題を扱う際には、非常時の事柄に言及
する機会が多くなりますので、その辺りはご
理解をお願いしますね。

と言うところで今週はここまで。
次回も引き続き糞尿塵芥処理についてお話し
ます。では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆