【ケアマネの自転車奔走記】連載・第525回。
8月も後半戦に差し掛かりました。皆様、いかが
お過ごしでしょうか?今年のお盆はいかがでした
でしょうか?昨年までのような行動制限がなかっ
たので、久しぶりの帰省や行楽にお出かけされた
方も多いと思います。久しぶりに日本の夏が少し
だけ戻ってきたようですね。ただ、毎日暑い日が
続いています。こまめな水分補給や室温管理など、
脱水症や熱中症の予防をしっかりお願いします。
また、天候も非常に不安定ですので、気象情報や
自治体の発出する警戒状況には十分ご注意下さい。
さらに!新型コロナウイルス感染症も感染が続い
ています。手洗い、マスクの適切な着用・換気な
ど基本的な予防対策をしっかり行って、感染予防
に努めて下さいませ。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-28。
【語句】
睡眠障害
【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症
や過眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。
【解説】
今週から「良い睡眠とは?」について少し掘り下
げたお話をしていきます。先週の回で、睡眠の質
を定量的に判定して『これは良い睡眠である!』
や『悪い睡眠なので改善が必要です』などと評価
することは難しいというお話をしました。まずは
この点について詳しくお話をします。最初に挙げ
ることができる理由としては、(自分の睡眠中の
状態を、覚醒中と同じ意識状態をもって自分自身
で認知することができない)という事です。自分
自身が自分の睡眠の内容を把握することが困難で
あるというごく当たり前の事実は、当人による主
観的な、かつ正確な睡眠の評価は不可能であるこ
とを指しています。ですので、睡眠の質を正確に
評価しようとすると、他者からの評価あるいは計
測器類による評価に頼ることになります。
ですが、睡眠中の脳波などの計測から睡眠段階を
客観的に評価できた場合でも、起床後に自分の睡
眠を振り返る主観的評価と、計測機器類での評価
結果が乖離することが多々発生するという事実が
あります。例えば、計測機器では十分な睡眠が取
れているデータが示されたとしても、本人は「よ
く眠れなかった」「起きても体や頭がすっきりし
ない」などの評価をするといったケースです。デ
ータ上では十分質の良い睡眠が取れているはずな
のに、本人の睡眠に対する満足度が低く、ちゃん
とした睡眠が取れていないと感じるというこの評
価の乖離ですが、一般的に主観的感想より客観的
事実の方が真実味はあると私達は考えますが、睡
眠の評価の場合はそうとも言い切れません。脳波
などの計測機器で評価できるのは「脳波睡眠(睡
眠時に特定の脳波が出現するメカニズム)」とい
う睡眠の一部分であり、「行動睡眠」と呼ばれる
形の睡眠では、脳波ではなく、睡眠時のエネルギ
ー消費(代謝)の抑制や行動リズム調節で評価し
ます。つまり、脳波的には適切な睡眠が取れてい
たとしても、睡眠時の代謝や行動リズムに問題が
生じると良い睡眠とは言い切れなくなります。
加えて、身体の代謝や行動リズムはなかなか正確
に客観的測定や評価ができないので、結局のとこ
ろ主観評価と客観評価のいずれが正解とも言い切
れない。ですので、仮に客観的な睡眠状態が正常
睡眠の範囲内であっても、それがイコール「良質
な睡眠」とは限らないということになってくるん
ですね。さらに、夜間の睡眠と日中の覚醒とは相
互に影響を及ぼし合っているので、睡眠を振り返
っての満足度(熟眠感、寝心地、目覚め感など)
だけでは評価できないという点も挙げることがで
きます。『昨晩は良く寝たはずなのに、なぜか体
が重く疲れが抜けていない』や『体が疲れすぎて
よく眠れなかった』というたぐいですね。最初の
方で少し言及しましたが、現在の睡眠学において
睡眠というものは日中活動から切り離された「人
体の休止モード」ではなく、日中活動から連続し
て行われる睡眠という「人体の活動」として捉え
る傾向があるので、睡眠と覚醒という表裏一体の
人体の活動を総体的に捉えないと評価ができない
ということになります。
これらのことから良い睡眠・悪い睡眠の評価とい
うものは、客観的な睡眠時のデータ、主観的な評
価による日中の生活における満足度、そして昼夜
を通して心身の諸機能が示す概日リズムの状態な
どもあわせて多面的に評価する必要があるという
ことになってくるんですね。とすると、睡眠を評
価するなんらかの指標はないのか?という疑問が
浮かんできます。先ほどお話したとおり睡眠の質
についての定量的な正解は無理なんですが、別の
観点から睡眠の質を評価する指標はあります。
次回はその指標などについてお話しますね!
では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK☆