【自転車奔走記】第710回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第710回。

明日は成人の日、皆様いかがお過ごしでしょ
うか?そろそろ正月気分も完全に抜け、本格
始動の方も多いと思います。しかし、今年の
冬は暖かい日と寒い日の差が大きいですね。
ヒートショック、外出先での不慮の転倒など、
事故には十分ご注意下さい。風邪や感染症予
防、体調管理もこまめにお願いしますね。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・76ー9。

【語句】 
マネープラン

【意味】
結婚、出産、住宅購入、老後資金など、人生
のイベントで必要となるお金について、いつ、
いくら必要になるかを具体的に計画し、資産
形成の方法まで含め考えるお金に関する計画。

短期連載企画
◎日本社会がたどってきた
〈老い〉と〈お金〉の文化史

【第4回】〈選べる老い〉が生んだ格差時代
第3章補論:老いの社会史は私たちの現在形
      だった

連載再開となります。今週は第3章の補論に
なります。今まで「老い」と「お金」をめぐ
る社会の変化を、高齢者像の転換や分断の構
造として辿ってきました。当初はもっと具体
的なマネープランについてのお話の予定だっ
たんですが、書き進めるうち、にわか社会学
みたいな内容になっていきました。これはこ
れでありだと思っていますが(笑)。

さて、皆様はこのブログを読み進めるうちに、
ある違和感を覚えたかもしれません。実は書
き進めていた私自身がそうなんです。これは
本当に「高齢者の話」なのだろうか?こんな
違和感です。振り返ってみると、自立型高齢
者像が広がり、老後が「選べるもの」と語ら
れていた時代、私たち現役世代は何をしてい
たんでしょうか?誤解を恐れずに言えば、私
も含め多くの人がこう感じていたのではない
でしょうか?「自分のことで精一杯だった」
「まだ先の話だと思っていた」「特に問題が
起きているようには見えなかった」蓋をして
見ないようにしていた訳ではなかった筈です。

また、現代社会特有の他者に対する無関心で
も他者を遮断する冷酷さでもないと思います。
今思うと空気感に近かった印象がありますが、
あえて言語化すれば「高度に個人化した社会
のなかで、自分の生活を回すだけで手一杯だ
った」というのが実感に近いと思います。実
際、高齢者は、少なくとも表面上は元気に見
えていましたし、年金制度も機能しているよ
うに思えました。メディアから流れてくる旅
行や趣味を楽しむ「新しい老後」の姿は、正
直少し眩しく…というか羨ましくさえ感じて
いた覚えがあります。だから私たちは、深く
考えなかったのではないか?考えなかったと
いうより、考える必要がないように見えてい
たのでは?と今では思います。

ですが、この「見えていなさ」こそが、後に
なって分断として立ち上がったのです。この
「見えていなさ」の原因は、当時の社会が意
図的に高齢者を切り捨てたわけではなく、高
齢者の自立や自由を、私たちはどこかで「人
生の成功」として受け止めていた点にあると
考えます。家族の庇護下ではなく、一人の個
人として、老後も自立した生活を営む高齢者
像を、現役世代の延長として捉えていたんで
しょうね。ですがその結果として、老いに必
然的に伴う脆さ、いずれ再び必要になる「つ
ながり」の問題を社会全体で引き受け直す
会を先送りにしてしまった、要するに問題と
して認識されないまま進行してしまったよう
に感じます。

そして格差や分断という言葉が流通し出した
時、あたかも新しく出現した社会的課題のよ
うに感じてしまいますが、実はずっと存在し
ていた課題だったんですね。見なかっただけ
で…。もう一つ重要なことは、この構図は老
後社会に限った話ではない点です。現役世代
でも、非正規雇用の拡大、地域の希薄化、世
代間の断絶、情報環境の分極化などなど、さ
まざまな領域で、静かに、しかし確実に分断
を深めてきています。また、課題に対する同
じスタンスも垣間見ることができます。「今
はまだ大丈夫だろう」という感覚と「自分の
ことで精一杯だ」という現実です。ここから
考えると、老後社会の分断は、現役世代の分
断構造の縮図の一つにすぎないという推論が
導けます。

「老い」は、誰にとっても避けて通れないも
のであるからです。だからこそですが、この
分断は最終的に私たち全員の現在形となって、
「老後の~」ではなく「社会の~」として立
ち現れることになるんですね。老いの社会史
は、過去の(出来事)ではなく、私たちが生
きてきた時間そのものの(記録)であり、そ
の選択の(過程と結果)であり、そして今も
進行中の現在形の(物語)と言うべきものな
んですね。次回は、この分断がどのように固
定化され、老後像がどのように姿を変えてい
ったのかを見ていきたいと思います。

では、また来週お会いしましょう。
お相手は広森でした!
See you next week☆