【自転車奔走記】第641回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第641回。

今回も土曜に登場!広森でございます。
少し暑さも和らいだかな?と感じる…はずの
9月の日曜日、皆様いかがお過ごしでしょう
か?秋の乾いた空気は当分先になりそうで、
残暑というか猛暑日がまだまだ続きそうです。
台風もこれから秋台風の本格的なシーズンに
入りますので、当面は油断できませんね。台
風などの防災対策、熱中症対策はまだまだ気
を抜かずにしっかりお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー81。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週は精神衛生にかかる国の施策や対策につ
いて公衆衛生の観点からお話をします。

先週もお話したとおり、メンタルヘルスの問
題や自殺率の高さなど、日本の精神衛生は様
々な課題を抱えています。それらの事柄に対
して国としてはどのような施策や対策を行っ
ているのか?について概観していきたいと思
います。

まずは①【自殺対策】です。自殺率が長らく
高水準で推移している日本において、自殺は
重大な公衆衛生問題とされており、自殺の予
防について包括的な対策が求められています。
具体的には2006年に「自殺対策基本法」が
施行され、これに基づいて政府は「自殺総合
対策大綱」を策定し5年ごとの見直しを重ね
ながら様々な対策を行っています。例として
は、自治体レベルでの自殺対策計画の策定を
求め、地域の実情に応じた予防策や支援体制
の整備、相談支援体制の整備と強化、自殺予
防や相談支援体制の普及啓発活動などを挙げ
ることができます。付け加えるなら、増加す
る子供や若年層の自殺についても学校や家庭
でのメンタルヘルス教育や早期の介入が重要
視され、スクールカウンセラーの配置やSNS
を活用した相談支援体制の整備などの対策が
進められています。

続いては②【メンタルヘルスケアの推進】。
ここでは主に労働者のメンタルヘルスケアに
ついての取り組みとなり、労働者の心の健康
を守り、職場環境を改善するための包括的な
取り組みを指しています。具体的には労働安
全衛生法改正(2015)により始まった「スト
レスチェック制度」(常時50人以上の労働者
を雇用する企業に、毎年1回以上のストレス
チェックを実施することを義務付けるもの)
や、相談窓口の設置と産業医の活用、そして
長時間労働の是正やワークライフバランスの
改善などの労働環境の改善を挙げることがで
きますね。

そして近年ますます深刻な社会問題となって
いる③【児童・生徒のメンタルヘルス支援】
があります。毎年のように夏休み明けの9月
に児童・生徒の自殺率が高くなるという悲し
いニュースが流れますが、この学校における
児童・生徒のメンタルヘルス支援は、文部科
学省を中心に様々な対策が推進されています。
具体的にはスクールカウンセラーの配置や、
メンタルヘルス教育の充実など、児童・生徒
の心の健康を守り、育む環境を作っていくこ
とに主眼が置かれています。

そして最後は④【精神科医療体制の整備】。
精神科医療体制の充実を図るため、病床の整
備や地域精神保健福祉サービスの強化が行わ
れています。特に、地域社会での支援体制を
整えることで、入院治療に頼らずに済むよう
な環境づくりが必要急務な事柄として進めら
れていますね。

ざっと見てきましたが、精神衛生に関する施
策は進展しているものの、地域間の格差や医
療従事者の不足、精神障害に対する偏見など、
まだ多くの課題が残されているという報告も
あります。精神衛生の様々な問題は、私たち
や私たち社会が抱える様々な問題や課題とネ
ガポジの関係にあるとも言えますので、時代
や社会に応じた様々な施策や、新たな問題に
対する対策がこれからも取られていくことに
なります。
というところで今週はここまでです。
次回は日本における公衆衛生(活動)の5番
目、「食品衛生」についてお話します。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆