【自転車奔走記】第640回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第640回。

9月最初の日曜日、皆様、いかがお過ごしで
しょうか?今日は「防災の日」です。先月の
南海トラフ地震臨時情報、そして発生が相次
ぐ台風、線状降水帯などによる水害など、こ
のところ嫌でも災害を身近に感じることが増
えていると思います。

「災害への備え」というと、何か億劫…とま
ではいかなくても何か特別な事のように感じ
ていらっしゃる方もいるかとは思います。で
すが、年に数回だけでも、定期的に確認と見
直しをしておくだけで、十分な災害への備え
になるんですね。せっかくの防災の日、ここ
は「備えあれば患いなし」の格言を信じ、避
難経路、非難場所の確認、家族や友人などと
の連絡手段の確認、食料、水、燃料などの災
害備蓄の準備など確認をお願いします。

そして、まだまだ暑い日が続きます。熱中症
対策も引き続きしっかりお願いします!
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー80。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週は日本における精神衛生の様々な課題に
ついて見ていきたいと思います。まず挙げる
ことができるのが(精神疾患の増加)です。
日本では、うつ病などに代表される気分障害
の患者数が増加しており、特に若年層や働き
盛りの世代で顕著となっています。これらは
労働環境の悪化や生活への不安、そして孤立
感などが原因と考えられています。ワタシの
分野である高齢者福祉でも、老年性うつ病の
問題が近年クローズアップされていますね。

続いては(自殺率の高さ)です。日本は先進
国の中でも自殺率が高い国の一つであり、特
に中高年男性や若年層の自殺が問題視されて
います。自殺の原因について、多くは多様で
複合的な背景があり、それら様々な要因が連
鎖する中で起きているとされています。です
ので自殺=精神的な問題と考えるのは間違い
ですが、精神衛生上の問題が自殺率の高さに
起因していることは否定できません。その意
味で公衆衛生上の深刻な問題として認識され
ています。

次は(精神疾患に対する偏見と差別)。これ
は日本に限ったことではありませんが、精神
疾患に対する社会的な偏見や差別はいまだに
根強く、これが精神衛生に関する支援の妨げ
になっていることは大きな問題として認識さ
れています。多くの人が精神的な問題を抱え
ていても、社会的なレッテルや偏見を恐れて
専門的な支援を受けることを躊躇している状
況は、公衆衛生上負のスパイラルを生み出す
要因となります。そして(社会的孤立と高齢
化)を挙げることができます。日本の急速な
高齢化とそれに伴う高齢者社会的孤立が、精
神衛生に大きな影響を与えていることは以前
から指摘されてきましたが、解消どころか近
年増々悪化してきている状況です。高齢者の
孤立は、うつ病や認知症のリスクを高める要
因となり、精神的な健康を脅かすだけでなく
介護といった社会的な問題にまで発展するこ
とは稀ではなく、それらの問題への包括的な
対処が急務とされている状況です。

そして最後は(医療サービスへのアクセスの
不均衡)を挙げます。都市部と地方部で、精
神衛生に関する医療サービスへのアクセスに
大きな差が存在します。都市部では比較的多
くの精神科医やカウンセラーがいますが、地
方部では不足しており、適切なケアを受けら
れないケースが多いという報告があります。
つまり、都市部と地方では精神衛生上の格差
が生じることになるわけで、これは社会イン
フラの問題でもあるんですが、近年ますます
加速する我が国の都市部への一極集中社会は、
公衆衛生上の大きな問題の種を孕んでいるこ
とを知っていただければ幸いです。

これら様々な課題を思いつくままに挙げてみ
ましたが、全体として日本の精神衛生の現状
は、公衆衛生上の深刻な課題として捉えられ
ており、政府も様々な施策を展開して対応し
ています。
というところで今週はここまで。
次回は精神衛生にかかる国の施策や対策につ
いてお話をしますね。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆