【自転車奔走記】第639回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第639回。

今週は土曜日に登場の私、広森でございます。
このところ台風の発生が連続しています。秋
口にかかるこの時期から台風シーズンが始ま
りますが、それにしても発生数が多い状態で
す。改めて、災害への備え、避難経路、非難
場所の確認、家族や友人などとの連絡手段の
確認、食料、水、燃料などの災害備蓄の準備
など確認をお願いします。

そして、まだまだ暑い日が続きます。熱中症
対策も引き続きしっかりお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー79。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週から公衆衛生(活動)の④「精神衛生」
についてお話をします。
最初に、精神衛生と
公衆衛生の関り…というかなぜ精神衛生が公
衆衛生の重要な一分野として扱われるのかに
ついてお話をします。さて「精神衛生」って
言葉ですが、なんとなく既視感のある文言で
はありますが、その意味を考えると「?」と
なってしまう方々が多いのではないでしょう
か?一般的に精神衛生という概念は、心の健
康や精神的な安定を指しています。

つまり、個人が精神的に健全で、バランスの
取れた生活を送ることができる状態とも言い
換えることができるでしょうか。その意味で
考えると、精神衛生は様々な要素を含み、そ
れらの要素がしっかりと機能した状態を指す
概念と捉えられています。様々な要素につい
ては、次のものを挙げることができます。

まずは(1)精神的な健康です。「安定」と
も言い換えることができますが、精神的な健
康とは、日常生活や人生の諸場面で生じる様
々なストレスに対処し、課題を乗り越える能
力、そして自分自身の感情や行動をコントロ
ールする力を指します。精神的に健康である
ことは、ポジティブな自己認識や、課題の解
決、そして他者との良好な関係を築く基盤と
なるべくものです。

続いては(2)「感情の安定」を挙げること
ができます。これは、日常のストレスや困難
な状況に対して過度に反応することなく冷静
に対処できる状態を指し、適切な感情の表現
や、ネガティブな感情を健全な方法で処理す
る力に関係していることが知られています。
これらは個人に属するもので、他にもストレ
ス対処能力や自己実現と満足感など、私たち
が人生を生きていくうえで重要な働きを持つ
要素ですね。ただ、先ほど述べた通りこれら
はあくまで個に属するというか関わるもので
すので、公衆衛生の「公」の部分が見えずら
いと感じる方も多いのではないでしょうか?

ここで思い出してほしいのがかのアリストテ
レスの「人間は社会的な動物である(正確に
は「人間はポリス的動物である」です)」と
いう言葉です。つまり、個の集まりとしての
社会を形成することで、私たちは「生きる」
という大変な作業を互いに協力し合い、関わ
り合いながらやっていくことができるという
考え方で、現代の哲学や社会学など多くの人
文学の基礎となっているものです。その意味
で、個の精神衛生が社会に与える影響は無視
できるのものではありません。精神的に健康
な人々が増えることで、社会全体の生産性や
安定性が向上し、コミュニティ全体がより健
全で支え合う関係を築くことができることが
その証左となります。ですが、社会が個の精
神衛生に悪い影響を及ぼし、その個の精神衛
生が社会に悪い影響を返すという事例は、悲
しいかな人類の歴史の様々な場面で目にした
光景でもありますよね。これらの意味で、精
神衛生は個の単なる「病気でない状態」では
なく、個人そして社会や日常生活において、
充実感や満足感を持って積極的に生きるため
の基本的な要素を含んだものであり、その精
神衛生をしっかりとケアし、健康な状態に保
つことが「公衆衛生」としての重要な役割に
なるという訳なんです。

というところで今週はここまで。
次回は現在の日本が抱える様々な精神衛生の
課題を見ていきたいと思います。
では、また、お会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆