【ケアマネの自転車奔走記】連載・第696回。
2連休初日の日曜日、皆様いかがお過ごしで
しょうか?明日はスポーツの日ですね。朝晩
が涼しくなり、散歩やジョギングをしている
方を多く見かけるようになりました。と、こ
こまで書いたところ「ヒロモリさん、最近は
『ジョギング』でなく『ランニング』、『散
歩』とは言わず『ウォーキング』ですよ!」
と助言が…。今週も、昭和の残り香をまとい
ながら【自転車奔走記】は始まります(^^)。
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たきび版:介語苑・73ー136。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
今週は「公衆衛生」について、全体的な振り
返りとなります。「公衆衛生」とは、ズバリ
言うと「私たちの健康を守る仕組み」と言え
ます。健康を守るというと、多くの人がまず
思い浮かべるのは医療保険や年金などの社会
保障制度だと思いますが、今までお話してき
たとおり「公衆衛生」も社会保障の根幹を支
える大切な分野です。公衆衛生を詳しく見て
いくと、個人ではなく「社会全体の健康」を
守るための科学的・社会的な取り組みである
ことがご理解いただけたと思います。
病気になってからの治療ではなく、(病気を
未然に防ぐこと、健康で安全な生活環境をつ
くること)に重点を置いている意味で、予防
的・包括的とも考えられますね。そして「公
衆衛生」を概念とするなら、その実践は「公
衆衛生活動」と呼ばれ、社会保障の体系では
特に「公衆衛生・保健医療」の領域に位置づ
けられています。その目的は、すべての人が
健康で文化的な生活を送れるように、社会全
体の健康水準を底上げすることとなりますが、
要は日本国憲法第25条の「生存権」に通じる
ものとして、国家の責任で制度的に支えられ
ているんですね。
日本における公衆衛生活動は、明治時代の衛
生行政を起点に、時代それぞれの課題に対応
して発展してきました。歴史を紐解くと、感
染症対策や上下水道の整備がメインだった明
治~昭和初期、戦後~高度成長期の食品衛生
や公害対策、そして環境衛生などです。時代
に応じて様々な社会課題が表出しますが、公
衆衛生活動はそれらに応じるように対象が広
がっていきます。現在では、感染症の予防や
生活習慣病対策はもちろん、母子保健、精神
保健、歯科保健、労働衛生、高齢者保健、さ
らには災害時の健康支援や地域包括ケアなど、
まさに包括的に幅広い分野に及んでいます。
では、実際の制度はどのようになっているで
しょうか?公衆衛生の分野横断的な活動を支
える拠点となるのが、全国に設置されている
保健所と市町村保健センターです。保健所は
地域の中核的な公衆衛生機関として、感染症
の発生調査や食品衛生監視、精神保健相談な
どを行い、広域的な健康危機対応を担ってい
ます。一方、市町村保健センターは、乳幼児
健診や予防接種、健康教育など、住民に身近
なサービスを提供する役割を果たしています。
こうした二層構造により、国から地域までが
連携し、包括的な公衆衛生活動が展開される
ことを可能としているんですね。これらの保
健所・保健センターも、時代に応じて求めら
れる役割が多様化してきていて、かつての感
染症中心の課題から、現在は生活習慣病やメ
ンタルヘルス、高齢化によるフレイル(虚弱)
予防など、より多様で複合的な健康課題へと
変化しています。そのため、公衆衛生の考え
方も「予防から支援へ」「行政から地域へ」
と広がりを見せています。たとえば、地域包
括ケアシステムにおける医療・介護・福祉・
保健が連携し、地域全体で高齢者の生活を支
える仕組みは公衆衛生の考え方そのものです。
企業や学校、自治体が一体となって健康づく
りを進める「健康日本21」「健康経営」も、
公衆衛生の理念を社会全体に浸透させる取り
組みといえます。実践面においては、感染症
のパンデミックや災害など、いわゆる健康危
機への迅速な対応力も問われるようになって
きています。公衆衛生が社会全体のレジリエ
ンス(回復力)を支える基盤の一つと言われ
る所以ですね。
このような公衆衛生(活動)ですが、社会保
障が「リスクへの備え」を制度化した仕組み
だとすれば、公衆衛生は「リスクを減らす」
ための知恵と行動の体系と呼ぶべきかもしれ
ませんね。健康な人も、病気を抱える人も、
子どもも高齢者も、すべての人が安全に暮ら
せるように、(清潔な水が飲めること)(安
心して食事ができること)(地域で健康相談
が受けられること)など、目立たないところ
で私たちの生活を支える社会保障の中の「見
えない土台」が公衆衛生(活動)なんです。
というところで今週はここまで。
最後に、体調不良や風邪などひかぬよう、健
康管理に十分ご配慮をお願いします。インフ
ルエンザ、そして新型コロナウイルス感染症
の予防接種もお早めにお願いします。
次回もお楽しみに。
では、まお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆