【ケアマネの自転車奔走記】連載・第690回。
8月最後の日曜日、皆様いかがお過ごしでし
ょうか?とにかく暑かった…としか言いよう
のない8月でしたね。ですが、お盆も過ぎ、
蝉の鳴き声はツクツクボウシに、夜の合唱は
カエルから虫の音に変わってきました。秋の
足音はだんだん近づいてきている…筈(笑)。
少々うんざりではありますが、9月もまだま
だ暑い日が続きそうです。引き続き、熱中症
対策は万全にお願いします。それと、夏風邪
や新型コロナウイルス感染症など健康管理に
も十分ご注意下さい。
では【自転車奔走記】はじまります!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
たきび版:介語苑・73ー130。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今週も公衆衛生(活動)の振り返り、今回は
「住居衛生」についてです。
「住居衛生」とは、人が日常生活を送る上で
「安全で清潔・快適かつ健康を維持できる住
宅環境」を確保することを目的としたもので、
公衆衛生の分野ではこうした「住居衛生」が、
古くから重要なテーマとされてきました。ま
ずは歴史的な視点で見ていきましょう。
明治期に近代的な衛生学が導入され始めたこ
とにより、住宅環境は感染症予防での重要な
ファクターであることが認識されるようにな
りました。明治期以前の都市部では長屋や木
造住宅が密集した地域がいくつもあり、基礎
インフラの未整備もあって井戸水の汚染や不
十分な糞尿処理が常態化していて、そのこと
がコレラや赤痢の流行につながっていました。
そのため、住居衛生は感染症予防という公衆
衛生活動として始まり、上下水道の整備や住
宅の採光・通風といった衛生的条件の基準づ
くりが始まりました。これが日本での住居衛
生の黎明期となります。そして時代は大正か
ら昭和初期に移りますが、住居衛生に関する
課題も変化します。今度は急速な都市化と工
業化の影響で、過密居住やスラムが問題化し
ました。このころの国民病と言われた結核や、
チフスなどの感染症が広がる背景には、この
劣悪な住宅環境が大きく関わっていることが
分ってきたわけです。
そしてその結果、「同潤会アパート」に代表
される集合住宅の建設や都市計画法の制定が
進み、「住まいの改善」が公衆衛生の一部と
して扱われるようになりました。そして戦後。
戦災による深刻な住宅不足が原因で、バラッ
クや長屋が立ち並ぶようになり、結核の再流
行が見られます。住まいの整備として、1951
年に制定された公営住宅法で国策として住宅
供給が推進されますが、これは単なる住まい
の確保ではなく、国民の健康を守るための施
策でもあったのです。
このように、明治期から戦後までは、住居衛
生は感染症対策などの公衆衛生上の問題と密
接にリンクしたものでした。これが高度経済
成長期以降になると、様相が変化してきます。
団地の建設や上下水道の普及によって住宅の
衛生水準は大きく向上し、伝染病のリスクは
大幅に減少しましたが、一方で大気汚染や騒
音といった新たな都市環境問題が発生し、社
会問題化しました。そしてこれらが住宅衛生
と結びつき、住居衛生の課題は「環境公害」
へと広がっていきます。そして現代、住居衛
生をめぐる課題はさらに多様でとなりました。
建材由来の化学物質によるシックハウス症候
群への対応、高齢化社会におけるバリアフリ
ー住宅や在宅介護の住環境整備、省エネ住宅
の普及に伴う換気不足やカビ・ダニ問題、さ
らには災害時の避難所や仮設住宅の衛生確保
まで、幅広いテーマが住居衛生として取り組
まれています。
ざっと歴史を見てきましたが、公衆衛生にお
ける「住居衛生」は、〇住宅の構造や環境を
健康的に保つ基準(建築基準法など)の確立
〇住居に起因する疾病や生活障害の予防〇法
律・制度、行政施策による環境整備、これら
を通じて、住民の健康を守る活動全般を指す
ことがご理解できると思います。
住居衛生は、「家そのものを健康の基盤とす
る」という視点で、住宅の質や環境条件を改
善・維持することが中心的な役割なんですね。
というところで今週はここまで。
次回は「上下水道」について振り返ります。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆