【ケアマネの自転車奔走記】連載・第675回。
5月も後半戦に入った日曜日、皆様いかがお
過ごしでしょうか?初夏にふさわしい日差し
の日が多くなってきましたね。梅雨が徐々に
近づいてきているせいか、カラッとした冬の
空気から湿り気の多い夏の空気に入れ替わっ
た気もします。
皆様、水分補給は一層しっかりとお願いしま
す。また、食中毒など衛生にも十分お気を付
け下さい。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー116。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今週も引き続き、公衆衛生の様々な施策や制
度についての振り返りです。テーマは「母子
保健・学校保健関連」になります。まずは公
衆衛生と母子保健・学校保健の関係から。
母子保健・学校保健は、妊産婦や乳幼児、学
童といった発育途上にある集団の健康を守る
ことを意味していて、ある意味公衆衛生の根
幹をなす分野とも言えます。将来的な見地か
らみても、母子保健や学校保健がこれからの
国民全体の健康水準の向上と、疾病予防の基
盤に非常に重要な位置を占めていますよね。
「母子保健」は、社会保障の他の分野でも取
り上げましたが、公衆衛生との関係で母子保
健を見てみると、その目的は『妊娠・出産・
乳幼児期における適切な保健指導、予防接種、
栄養管理、健康診査などを通じて、次世代の
健全な成長を支援することを目的とする。』
と整理できます。一方、学校保健は、教育現
場を拠点としながら、児童生徒の心身の健康
を守る役割を担っています。では、この母子
保健、学校保健にはどのような制度があるの
か、それらの概要を振り返ります。
最初は「母子保健法」です。何度も出てきた
法令ですが、妊産婦および乳幼児の健康保持
と増進を目的とする公衆衛生上の基本法とも
呼ぶべきものです。公衆衛生との絡みで見る
と、各市町村に、妊娠届の受理・母子健康手
帳の交付・妊婦健康診査・新生児訪問指導・
乳幼児健診などの義務を定めていることが重
要ですね。また、近年では産後ケアやワンス
トップの妊娠・出産支援の体制作りも進めら
れています。続いては「児童福祉法」です。
こちらも頻出法ですが。児童(18歳未満)の
健全育成と保護を定める基本法で、保健分野
では、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤
ちゃん事業)や、発育不良児・障害児への支
援などを包含していることが重要なポイント
になります。因みにですが、この児童福祉法
は保育所や児童相談所運営の根拠法でもあり、
福祉と保健が交差する制度とも呼ばれてます。
次は「母子健康包括支援制度」です。これは
制度面でのお話になりますが、最初に出てき
た母子保健法の枠組みを拡充し、妊娠期から
子育て期まで切れ目のない支援を提供する行
政体制を定めたものです。具体的な制度には、
各自治体に「母子保健コーディネーター」や
「妊娠・出産包括支援センター」を設置する
ものや、ハイリスク妊産婦や若年妊婦、多胎
妊娠などに対する個別支援の制度もあります。
そして「学校保健安全法」も重要な法律です。
学校における児童生徒・教職員の健康保持お
よび安全管理を目的としたもので、健康診断
や感染症対策、養護教諭の配置、心の健康対
策(スクールカウンセラーの導入)などを規
定しています。また関連法令として「学校環
境衛生基準」も定められており、学校の環境、
即ち教室の照度・空気環境・水質等の管理が
義務づけられています。
最後は「地域保健法」で、保健所・市町村保
健センターを、母子保健や学校保健の地域的
実施拠点として位置づけている法律になりま
す。この法律に基づき、市町村は、健康診査
や保健指導などを通じて、妊産婦・乳幼児・
児童の保健活動を展開しています。
以上が代表的な法令ですが、これらの他にも
「予防接種法」や「健康増進法」、「発達障
害支援法」も公衆衛生としての母子保健・学
校保健では重要な位置を占めています。この
ように母子保健・学校保健は、疾病予防や健
康教育の観点から極めて重要な公衆衛生活動
で、ライフステージの早期における健康課題
の把握と対応を可能にする制度的な土台を作
っています。そして、これらの制度は単体で
機能するのではなく、地域保健や教育、福祉、
医療制度と密接に連動しながら「切れ目のな
い支援体制」の構築が求められているのは言
うまでもありません。
というところで今週はここまで。
次回も引き続き公衆衛生の制度について振り
返ります。では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆