【ケアマネの自転車奔走記】連載・第650回。
ようやく秋らしくなってきた11月の日曜日。
皆様いかがお過ごしでしょうか?山の木々も
ようやく色づき始めました。見ごろはもう少
し先のようですが…。今までが暑すぎたせい
か、猛スピードで季節が変わっている気がし
ます。季節の変わり目もありますが、気温が
下がってきています。風邪をひかないよう、
体調を崩さないよう体調管理は万全にお願い
します。インフルエンザ、コロナウイルスの
ワクチン定期接種もお忘れなく。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー90。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今週から⑩「労働衛生」についてのお話とな
ります。まずは「労働衛生とは?」から。
労働環境において労働者の健康を守り、職場
での安全と健康を促進するための科学や実践
の分野です。具体的には、労働者が有害な物
質、騒音、放射線などに長時間さらされない
ようにすることや、適切な換気や温度・湿度
の管理を行う【作業環境の安全性の確保】、
職場での事故やケガを防止する【労働災害の
防止】、健康診断や予防接種、メンタルヘル
スケアの提供などを通じて、病気の早期発見
や予防に努める【疾病予防と健康管理】、そ
して禁煙エリアの設置、職場内での適切な休
憩時間の確保、食事や運動に関するアドバイ
スなどの【健康的な職場環境の促進】を挙げ
ることができます。
ではこの労働衛生対策を公衆衛生の視点から
みるとどうなるか?についてお話します。公
衆衛生の視点から見ると、労働衛生は個人の
健康のみならず、社会全体の健康にも影響を
及ぼすため、非常に重要とされています。以
下、具体的な例を挙げてお話します。
①は【疾病予防と早期発見】です。職場での
有害因子(化学物質、粉塵、騒音、放射線な
ど)に長時間さらされることにより、呼吸器
疾患、皮膚疾患、癌などのリスクが高まるた
め、労働衛生対策はこれらの疾患の発症予防
や早期発見を目的とします。ですが、これら
の対策は労働者個人の健康保護に留まらず、
その方々が住まう、或いは働く地域社会全体
の健康維持にとって重要な因子ですね。
②は【精神的健康と社会的影響】です。過労
や過度のストレスが引き起こすメンタルヘル
スの問題(うつ病、不安障害など)も労働衛
生の一環です。職場のストレス管理や過労防
止は、労働者の精神的な安定と生産性を維持
するだけでなく、社会全体の精神的健康水準
の向上にも繋がることが知られています。
③の【健康的な職場文化の促進】も見逃せま
せん。健康的な職場文化を推進することで、
感染症予防や生活習慣病のリスク低減も期待
できます。例えば、禁煙推進、適切な食事や
運動の推奨、手洗いなどの感染症予防等を挙
げることができます。私たちは新型コロナウ
イルス感染症が猛威を振るっていた時期に身
をもって知りましたが、職場で健康を促進す
る活動は、その職場に留まらず、家族や地域
にも広がり全体の健康レベルの向上に繋って
いるんですね。
最後は④【労働力の維持と経済的影響】です。
健康な労働者が増えることで、労働生産性が
向上し、欠勤や早期退職が減少します。これ
は、社会全体の経済的負担軽減にも貢献する
お話で、健康な労働人口を維持することは長
期的な社会経済の安定にとっても不可欠です。
ということで、労働衛生と公衆衛生のかかわ
りについて見てきました。労働衛生は労働者
ひとりひとりの健康保護にとどまらず、社会
全体の公衆衛生の向上に直結する重要な分野
であるという事がお分かりいただけたら幸い
です。次回は日本の労働衛生の施策について
お話します。では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆