【自転車奔走記】第648回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第648回。

10月最後の日曜日。皆様いかがお過ごしで
しょうか?先週末から野球の日本シリーズ、
そしてワールドシリーズが始まりました。
大谷選手の異次元の活躍からか、今年のワー
ルドシリーズは日本でも大注目ですね。野球
ファンにとっては、まだまだ熱い毎日が続き
そうです。熱いと言えば、まだまだ日中は汗
ばむ暑さが続いています。寒暖差も非常に大
きくなっています。体調を崩さないよう、体
調管理は万全にお願いします。インフルエン
ザ、新型コロナウイルスのワクチン定期接種
もお忘れなく。
では【自転車奔走記】はじまります!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
たきび版:介語苑・73ー88。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週からは⑨公害対策について。公害対策も
公衆衛生からみると非常に重要な枠割を果た
しているんですが、その前に最近『公害』と
いう文言をテレビやニュースであまり見たり
聞いたりしなくなったと感じるのはワタシだ
けでしょうか?確かに、戦後日本で大きな社
会問題を引き起こした水俣病や四日市ぜんそ
くのような大規模かつ深刻な公害の発生こそ
見られていません。ですが、私たちの生活や
健康に悪影響を与える公害は、全国どこでも
発生しうる、更には現に発生しているんです。

せっかくの機会ですので、本題に入る前に公
害の定義や日本の公害対策の歴史を簡単にお
話しておきます。まず公害の定義ですが、日
本では環境基本により『事業活動その他の人
の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる(1)
大気の汚染、(2)水質の汚濁、(3)土壌
の汚染、(4)騒音、(5)振動、(6)地
盤の沈下及び(7)悪臭によって、人の健康
又は生活環境に係る被害が生ずることをいう』
と定義されています。一般に「公害」といえ
ば、日照阻害や通風阻害なども含むもっと広
いイメージで捉えられる場合が多いですが、
法律で「公害」という場合は上記の7種類の
ものを指します(因みにこれらは典型7公害
と呼ばれています)。

ざっと見てみて、いかかでしょうか?けっこ
う身近な問題で、だからこそ公衆衛生とのか
かわりが深いとも言えます。続いては日本の
公害対策の歴史をざっと見てみましょう。戦
後の日本の公害対策は、特に1960年代から
1970年代にかけての高度経済成長期に顕著に
なった深刻な公害問題に対するものを中心に
展開されました。この時期はまだ公害に対す
る国民的な意識も薄く、工業化が進む中、工
場からの排出ガスや廃水、化学物質の使用が
急増し、大気汚染や水質汚濁が深刻化しまし
た。この時期、地方都市や産業都市で特に公
害が顕在化し、健康被害が拡大しました。近
年映画化された水俣病、四日市ぜんそく、そ
してイタイイタイ病がその代表。ただ、この
時期には有効な公害対策はほとんど行われず、
公害による被害はますます拡大、深刻化して
いき、1967年になってようやく初めて公害を
法的に定義し、政府の公害対策に関する基本
方針を示した「公害対策基本法」が成立しま
す。そして1970年には「大気汚染防止法」や
「水質汚濁防止法」など、14の公害関連法案
が国会で成立しました。これにより、ようや
く大気汚染や水質汚濁を防止するための排出
基準が定められ、企業には公害対策の実施が
義務付けられました。そして1971年に環境庁
(現・環境省)が設置され、公害対策を専門
的に担う行政機関が誕生し、政府全体での公
害防止施策がより一層強化されることになり
ました。

これ以降、法整備や規制強化、技術革新が進
められた結果、1980年以降は日本の公害問題
は次第に改善されていきます。そして現在の
公害対策は、地球温暖化や廃棄物問題など、
より広範な環境問題に対する取り組みも含め
て進められています。ざっと、日本の公害対
策の歴史を紐解いてみました。日本の公害対
策の歴史は、深刻な健康被害を教訓に、法整
備や規制強化、技術革新が進められてきまし
た。これにより、かつてのような大規模な公
害問題は減少しました。ですが、環境問題な
どは依然としてあり、公衆衛生の観点からも、
様々な公害対策が現在も実施されているんで
すね。というところで今週はここまで。

次回は公衆衛生の視点から見た公害対策につ
いてお話します。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆