【自転車奔走記】第620回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第620回。

6月も終盤に差し掛かった日曜日、皆様いか
がお過ごしでしょうか?梅雨の時期ではあり
ますが、ここ東海地方の梅雨入りは例年より
かなり遅くなっていますね。一部では記録的
な遅さとも言われています。梅雨時期の降水
量が少ないと、夏場の水不足が心配ではあり
ますが、ここ近年の極端な豪雨による大規模
水害もこの梅雨時期によく発生しています。
気候変動というと地球温暖化がクローズアッ
プされますが、気候サイクルも変化していて、
過去の経験からかけ離れた事態が起こること
も珍しくありません。梅雨時期の健康管理は
万全に、そして豪雨への備えなど災害対策も
併せてしっかりお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー70。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週からは公衆衛生の主な活動についてのお
話をします。まずは①母子保健から。ところ
で、公衆衛生の分野に母子保健が入っている
ことについて、不思議に思われた方はいらっ
しゃるでしょうか?実はワタシもそうでして、
一般的な公衆衛生のイメージと母子保健が結
びつかなくて、軽い違和感があったことを覚
えています。これには、日本の母子保健の歴
史を見てみる必要があるんですね。

母子保健についての様々な制度が作られ始め
たのはかなり遅くて、1937年の保健所法が
最初と言われています。我が国ではそれまで
(これは日本に限ったことではありませんで
したが)社会全体で見てみると医療や保健行
政がまだまだ未発達であったこともあり、高
い乳児死亡率・妊産婦死亡率、妊婦の流産、
早産、死産といった、母子健康に関わる様々
な問題や課題が山積していました。実は、保
健所法の制定と同時期に「母子保護法」とい
う法律が制定されましたが、これは医療保険
分野というよりは母子に対する救貧対策の面
が強い法律で、医療・保健対策としてはまだ
まだだったということもあります。

そして1942年に「妊産婦手帳(現在の母子健
康手帳)制度」が開始されはしましたが、母
子保健の具体的な施策という点で言うと、19
48年に制定された児童福祉法(1948年施行)
のなかでの母子保健対策としての位置づけで
した。そして1965年にやっと「母子保健法」
が制定され、本格的な母子保健事業が開始に
なったという歴史があります。これらの事を
見てみると、戦中~戦後にかけての母子保健
の問題や課題は、社会的な問題がその背景に
あり、そのことが母子保健を公衆衛生にカテ
ゴライズする契機になったのではないか?と
考えています。

因みに、現在の公衆衛生としての母子保健行
政の一番の課題は、児童虐待などの子供と家
庭をめぐる問題とされていて、この点からも
公衆衛生の定義である『社会全体で健康の回
復や増進に取り組む活動や制度』という言葉
がぴったり当てはまりますよね。

お話を戻して、このように母子保健は公衆衛
生の活動としてカテゴライズされており、こ
のことは世界標準でもあります。妊娠・出産
・育児というイベントを社会全体でサポート
するという事が、公衆衛生からみた母子の保
健に対する姿勢なのです。
ということで今週はここまで。次回は、日本
での母子保健の具体的な活動や施策について
お話をします。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆