【自転車奔走記】第619回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第619回。

6月も後半戦に入った日曜日、皆様いかがお
過ごしでしょうか?日本のあちこちで梅雨入
りとなっていますね。暫くは憂鬱な毎日が続
きます。さて、皆さんは「梅雨型熱中症」と
いう言葉をご存知でしょうか?以前より梅雨
時期の熱中症については注意喚起がなされて
きました。梅雨型~のとおり、暑くなくても
湿度が高いと発汗が少なくなり、熱中症の発
症リスクが高まってしまうんです。例年8月
より6月の方が熱中症罹患者が多いとの報告
もあり、梅雨はまさに危険な時期となります。
室温だけでなく湿度にも気を配り、こまめな
水分補給や休息で熱中症予防をしっかりお願
いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー69。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週も引き続き「公衆衛生(活動)」につい
てのお話となります。まずは語義から。本ブ
ログでは「公衆衛生」を概念的であり学問的
な定義、そして「公衆衛生活動」を日本にお
ける具体的な公衆衛生の実践と定義してお話
を進めていきます。

と、いきなり堅苦しいお話で始まりましたが…、
実際のところ公衆衛生学は一つの学問分野と
して研究・発展が著しいもので、ほぼ初学者
のワタシが軽々しく扱えるものではないんで
すね。ですので、誤解というか、浅学故の曖
昧さをご容赦していただく意味を込めて、上
記のように語義を決めてお話を進めます。

お話を戻して、先週お話した通り公衆衛生と
は社会全体で健康の回復や増進に取り組む活
動や制度なんですが、日本においてその公衆
衛生の具体的な活動は①母子保健②伝染病予
防③生活習慣病対策④精神衛生⑤食品衛生⑥
住居衛生⑦上下水道⑧屎尿塵芥処理⑨公害対
策⑩労働衛生などとなっています。ここでち
ょっと注目してほしいのが、日本ではこれら
の公衆衛生の活動を統括するような「公衆衛
生法」のような法律はないんですね。

例えば①の母子保健に関しては、母子保健法
という法律が基盤となり、それに関連して他
の様々な法律が連動する形で施策や活動が行
われていて、他の活動もほぼ同じような構図
となっています。これらを縦割りと称してし
まえばそれまでなんですが、なぜこのような
全体図になっているのか?は、公衆衛生とい
うものの成り立ちを見てみると、朧気ながら
ではありますがその経緯が見えてきます。

公衆衛生という考え方は、個人と社会の関係
があいまいだった中世・近世にはなく(個人
⊂地域社会⊂国家)という近代的な社会の枠組
みが確立してからのものなんです。つまり、
国家の興隆は地域社会の興衰、即ち地域社会
がどれだけ健全・健康に発展するかにより、
地域社会の興衰は個人の健康、病気や貧困が
なく健康に過ごせるかによるといった考え方
です。日本においては、1874年の医制(日本
最初の医事法)が公衆衛生の始まりとされ、
その後労働者の健康や権利を守るための工場
法、そして戦後まで国民病とまで言われ猛威
を振るった結核への対策として結核予防法、
それに付随しての保健所法、予防接種法とい
う法律が整備されてきました。

そしてその後の社会の発展に伴う様々な問題
に対応する形で、例えば公害対策基本法(現
在の環境基本法)のように様々な法律や施策
によって問題の解決を図ってきています。こ
のことから見て分かる通り、公衆衛生という
のは、社会の発展(?)に伴って生じる様々
な健康上の問題への対処の集合体といえます
よね。ですので、社会の変化に伴って無くな
っていく分野もあれば、新たに対策が必要に
なるものも出てきたりと、長い目で見ると非
常に流動的ですよね。だから…という訳では
ありませんが、「公衆衛生法」のような大き
な法律を作ることにはさほどの意味がないと
いうか、かえって諸々の活動を縛ってしまう
ので、日本では施行されていないのだと考え
ています。

というところで、今週は公衆衛生と法律との
関係についてのお話になってしまいました。
来週からは、各項目の公衆衛生活動について
それらの概略をお話していきます。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆