【自転車奔走記】第592回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第592回。

師走の日曜日、皆様いかがお過ごしでしょう
か?
コロナも明けて、クリスマス商戦や数年
ぶりの忘年会などで、街の人出も多くなって
いる印象がありますね。

比較的暖かい日は活動的になりますが、冬は
冬!インフルエンザの流行もありますのでマ
スク着用など感染防止には十分ご注意下さい。
また、冬脱水やヒートショック防止など、体
調管理も万全に…。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー43。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
今週も生業扶助についてのお話ですが、まず
はサブテーマの就学・進学事情についてから。
先週のお話で、現在の制度下では生活保護世
帯の高校進学は生業扶助、つまり就職のため
のスキルや技能取得という目的で対応してい
るとお話をしました。では、高校卒業後大学
への進学は?となりますよね。現在、日本の
大学進学率は50%超となっていて、2人に1
人が進学しているという勘定になります。国
も令和2年4月から高等教育への支援制度を
新しくしている(給付型奨学金や授業料等の
減免制度)こともあり、生活保護受給者とい
う理由で高等教育への道が絶たれるという事
は、教育機会の平等の理念に反することにな
りますよね。

実際のところ、以前は生活保護受給者の方は、
高校を卒業したらすぐに就職して自立を目指
すのが当たり前といった風潮(制度ではあり
ません)があったことも事実ではあります。
では、現在はどうなっている?というと、平
成30年に法改正があり、生活保護受給者の
方でも大学等への進学がしやすくなる制度も
創設されていて、生活保護受給者であるとい
う事が、以前ほど高いハードルではなくなっ
ています。

では、少し細かくお話をしていきます。そも
そもですが、生活保護受給者が大学や専門学
校などの高等教育(夜間学校を除く)を受け
ることは事実上認められていません。このあ
たりについては様々議論が交わされています
ので、ワタシの見解は後日機会があれば…と
いう事にしておきますが、生活保護受給者の
方が大学等(短大や専門学校を含む)へ進学
することは制度上できないという事は把握し
ておくべきことですね。では、生活保護受給
者が大学等へ進学するにはどうするか?現制
度では、生活保護の制度上「世帯分離」をす
ることが必要となります。世帯分離とは元々
一世帯で住んでいた者が、住民票を分けて別
世帯になることを指します。生活保護受給者
の場合、大学進学者は生活保護から外れるこ
とが必要になるので、世帯単位で保護を行う
のが原則の現制度では世帯を出る、つまり家
を出る必要があるのですが、平成30年の法
改正で「世帯分離」でOK、つまり生活保護
受給者でなくなっても家を出ることなく(家
族の住宅扶助の利用で)大学に通うことがで
きるようになりました。

ただ、生活保護から外れるので、住居費はと
もかく、生活費や小遣いは自分で賄う必要が
ありますし、国民健康保険へ加入する必要も
あります。また、学費等についても奨学金や
アルバイトなどで、自力で賄うことが条件と
なります。冒頭で少しお話した高等教育への
支援制度ですが、生活保護世帯のみではなく
低所得者を対象としていて、入学準備金など
の給付があり、生活保護受給者はこの制度を
利用することになります。

さて、サブテーマとして生活保護受給者の進
学事情を見てきました。結論としては、高等
教育になるにしたがって一般よりはハードル
が高くなる制度立てであることは否定できず、
そのことが権利として保障された教育機会の
平等が、個人の経済力によって阻害される場
合があるという教育格差の現状を垣間見るこ
とができたのではないか?と思います。ただ、
この問題は現在進行形で改善に向けての議論
が重ねられていますので、今後の動向に注視
しましょう。

では、今週はここまで。生業扶助のお話は次
回に必ず。お相手は広森でした!

SEE YOU NEXT WEEK☆