【ケアマネの自転車奔走記】連載・第566回。
梅雨真っ盛りの6月の日曜日です。皆様いか
がお過ごしでしょうか?梅雨の序盤は、雨の
日が続くことでだんだん気持ちが下げ気味に
なっている方も多いのかと思います。読書な
ど「梅雨時の愉しみ」みたいなものもたくさ
んありますが、やっぱりジメジメやジトジト
は苦手です。ワタシは梅雨明けを一日千秋の
思いで待つしかないと諦めています。と、愚
痴はこの辺にしておいて(笑)、皆様、梅雨
時の健康管理は大丈夫でしょうか?熱中症予
防のこまめな水分補給と室温管理、そして食
中毒など梅雨時の衛生対策は万全にお願いし
ます。では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73―19。
【語句】
社会保障(制度)
【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。
【解説】
今週から『高齢者福祉』の制度や施策につい
てのお話となりますが、主に老人福祉法の視
点で高齢者福祉を見ていこうと思いますので
ご了解ください。では早速…
高齢者福祉に関する事業や施策は①老人福祉
施設②老人居宅介護等事業(訪問介護等)③
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
④複合型サービス福祉事業⑤日常生活用具給
付等事業、この5つを挙げることができます。
ここで注目してほしいのは、これらの事業の
ほとんどは介護保険法においても同様のサー
ビスとして位置づけられている点です。
①の老人福祉施設は「介護老人福祉施設や通
所介護、短期入所生活介護」として、②老人
居宅介護等事業は「訪問介護、定期巡回・随
時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護」
③の認知症対応型共同生活介護は同じ名称の
認知症対応型共同生活介護となります。
④の複合型サービス福祉事業は「看護小規模
多機能型居宅介護」です。因みに最後の⑤日
常生活用具給付等事業は、介護保険法のおけ
る「福祉用具貸与、福祉用具購入」とは少々
異なりますので別のものとして考えたほうが
良いと思います。そしてこの①~④の事業と
サービスは、その内容においてほぼ同じと言
ってよいものなんですね。では、なぜ同じも
のが老人福祉法と介護保険法という別の法律
に位置付けられているのか?という疑問が出
てくると思います。
その答えは、これらを利用する理由にありま
す。介護保険サービスのケースで考えてみま
しょう。介護保険法で様々な介護サービスを
利用しようとした際、介護サービスを利用し
ようとする方が日常生活において何らかの介
護や支援を要する状態になったという理由が
生じることが大前提となります。そしてその
上で様々な要件、介護保険の受給資格や要介
護・要支援の認定等の条件を満たせば利用が
可能となります。では、老人福祉法の事業を
利用するにはどのような理由が必要か?老人
福祉法では「六十五歳以上の者であつて、身
体上又は精神上の障害があるために日常生活
を営むのに支障があるものが、やむを得ない
事由により介護保険法に規定する~(略)~
を利用することが著しく困難であると認める
とき」と規定されています。
つまり、介護保険のサービスを利用できる方
がなんらかの理由で利用できない時というの
が、老人福祉法の事業を利用する理由となる
訳です。具体的には、認知症等の理由により
介護保険の申請や事業者との契約ができず緊
急的に対処しないと身体生命に重大な危機が
及ぶ場合や、虐待により高齢者の生命または
身体に重大な危機が生じている(おそれ)場
合などです。そして、この場合は介護保険サ
ービスのように事業者との契約に基づいてで
はなく、市町村の措置(行政庁が職権で必要
性を判断し、サービスの種類・提供機関を決
定する仕組み)という形で行われます。
このような介護保険法と老人福祉法の関係は、
契約と措置という利用形態の違いはあります
が、両法がそれぞれのセイフティーネットと
して機能することで高齢者の福祉を構成して
いる、ということがお分かり頂けるかと思い
ます。介護保険法と老人福祉法は「コインの
裏表」と言われることがよくありますが、相
互補完の関係としては正に言い得て妙ですね。
このように、老人福祉法では主に措置と言う
形を取って、対象となる高齢者が様々な事業
を利用することになります。では、その具体
的な内容について、次回詳しくお話をしてい
きます。では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
SEE YOU NEXT WEEK☆