【ケアマネの自転車奔走記】連載・第523回。
7月も終盤ですね。皆様、いかがお過ごしでしょう
か?『観測史上もっとも早い梅雨明け』との触れ込
みで幕が開けた今月でしたが、結局のところいつも
通りの梅雨空の多い一月だったと思います。ただ梅
雨が開ければ(?)暑い日が続きそうですので、引
き続き熱中症対策、脱水症予防をしっかりと行って
ください。新型コロナウイルス感染症も感染拡大が
続いています。各自が基本的予防対策をしっかり行
って、こちらも引き続き感染予防に努めて下さい!
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-26。
【語句】
睡眠障害
【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や過
眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。
【解説】
今週は過眠症についての章の最終回となります。まず
は「睡眠不足症候群」について。その名称の通り、慢
性的な睡眠不足から日中の強烈な眠気等の症状を呈す
る状態です。私達の睡眠時間に個人差があることは体
験的に分かっています。いわゆる平均的な睡眠時間で
十分な人もいれば、それより短い睡眠時間でも何ら支
障を感じない人、そして10時間以上寝ても睡眠不足
を感じる人などさまざまです。ですが、社会生活を営
む私達にとって、毎日自分が満足できる睡眠時間を取
ることは時には困難になります。特に長時間睡眠(ロ
ングスリーパー)の人にとっては、毎日時間刻み、あ
るいは分刻みで進行していく社会において十分な睡眠
時間を確保することはなかなか困難であることは想像
に難くないと思います。また、繁忙期や育児などで十
分な睡眠時間を確保できない方も沢山いらっしゃると
思います。このように慢性的な睡眠不足は、今までお
話してきた過眠症に良く似た症状を生じることがあり、
それらを【睡眠不足症候群】と呼びます。
つまり、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因ではな
く、日常生活で慢性の睡眠不足となっているため、日
中の非常に強い眠気により目覚めていられない等の過
眠症状が出現しているということです。この睡眠不足
症候群については、十分な睡眠時間が確保できれば症
状は収まるのは自明ですが、社会システム(朝から夕
方までが仕事や学校といった時間制の就業、就学シス
テム等)や性格的なもの(仕事や勉強、家事などを先
送りできず睡眠時間を犠牲にしてしまう等)がその背
景にあるので、実際の問題としてそう簡単に解消する
というものではないようですね。
さて、これにて過眠症についてのお話は終了となりま
す。過眠症といっても、今までのお話で様々な症状や
病気があることがお分かりいただけたと思います。一
昔前の社会風潮は、日中に強い眠気を訴えると『寝過
ぎだ』と言われたり、『怠けている』と非難されたり
することが多かったように思いますが、近年にかけて
過眠症という病気のカテゴリーが確立される事で、単
なる『寝過ぎ』ではなく、睡眠時無呼吸症候群に代表
される重大な身体疾患のトリガーとなる疾患や、本人
の意思の力ではどうしようもない病気があることが一
般的に認知されてきたのは非常に良いことだと思いま
す。過眠症とは、寝ている時間が問題なのでなく、そ
の逆の“起きている”時間帯に様々な支障が発生するこ
とがそもそもの問題であることをご理解いただければ
と思います。日中に過度の眠気を感じる事は、決して
怠惰ではありません。日中の過度の眠気により、ご自
身の社会生活や日常生活に少しでも支障を感じるよう
であれば、早めに専門の医療機関(睡眠外来や神経科、
心療内科など)でご相談されることが大切です。
では、今週はここまで。次回からは、睡眠についての
最終章「良い睡眠を取るためには」についてお話を
していきます。では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!