【ケアマネの自転車奔走記】連載・第508回。
4月最初の日曜日。皆様、いかがお過ごしでしょう
か。新年度もいよいよ明日から本格的に始動、会社
の近くではまるで示し合わせたように桜が花開いて
います。学校や会社などで新たな生活をスタートさ
れる皆さんにとって、満開の桜のように晴れやかな
毎日が送れるようお祈りしています。
ただ、まだまだ不安定な天候は続きますので、体調
管理には十分ご注意下さい。新型コロナウイルスに
ついても引き続き基本的感染症対策の徹底をお願い
します。では【自転車奔走記】はじまります!
————————————————————–
たきび版:介語苑・72-12。
【語句】
睡眠障害
【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や過
眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。
【解説】
今週は不眠症が発生する原因や要因についてお話しま
す。不眠症の発生原因は本当に様々で、非常に多岐に
渡った因子が考えられます。まず取り上げるのが「環
境的要因」です。『旅先で枕が変わったからか、よく
眠れなかった』といったお話はよく聞いたり、または
体験したことがある人も多いと思います。このように
就寝時、睡眠時の環境が変わることで不眠が発生する
ことはよくあります。例えば寝室の温度や湿度が変化
したり、聞きなれない音がする、光度が変化するなど
ですね。旅行などで時差が発生すると不眠状態になる
ことも珍しくはありません。続いては「身体的要因」
です。『怪我をしたところが痛くて眠れなかった』と
いうものが分かりやすいかと思います。
不眠を誘発する身体的要因としては、頚椎症や腰痛な
どからくる慢性の痛み、アレルギー疾患や乾燥肌など
による掻痒感(かゆみ)、気管支喘息や慢性閉塞性肺
疾患などからくる呼吸困難、前立腺肥大や膀胱炎など
が原因の尿路系の刺激による頻尿、さらにはアルツハ
イマー病、パーキンソン病などの神経疾患や脳血管疾
患、脳腫瘍、頭部外傷などを挙げることが出来ます。
他にも、年齢的な要因(加齢)も不眠の身体的要件の
一つとして考えることができますね。続いては、『明
日試験があり、不安でよく眠れなかった』に代表され
る「精神的要因」です。眠れないかもしれないという
慢性的な不安や緊張などのストレスが原因となって不
眠を引き起こすこともあれば、睡眠への強いこだわり
(例えば「絶対に◯時までに寝床に入らないと私は眠
れない」など)から不眠が誘発される場合もあります。
他にもうつ病も不眠の要因の一つとして考えられます。
そして一番多い要因ではないか?と私が考える「生活
習慣の要因」です。例えば『寝る前にお酒を一杯飲む
とよく眠れる!』と寝酒が習慣になっている人は沢山
いると思います。実際に、飲んだ直後は酔いの影響も
あり寝つきがよく感じますが、アルコールは代謝の過
程で覚醒作用をもたらすため、途中で目が覚めやすく
利尿作用もあいまって睡眠が分断されてしまいますし、
さらに眠りの後半の睡眠を浅くする作用もあるので実
際のところ寝酒を続けると睡眠は量・質ともに悪化し
ていき、不眠状態となってしまいます。
他にも現代人の宿痾ともいえる不規則な生活習慣や運
動不足、今まさに注意喚起されている「寝る前スマホ
(寝る直前までスマホの画面を見ること)」も不眠の
大きな要因です。そして最後は「薬剤(化学物質含む)
の要因」です。抗パーキンソン病薬や血圧を下げる降
圧薬、副腎皮質ステロイド、インターフェロンなどの
薬剤は副作用として不眠を誘発することが知られてい
ます。他に嗜好品由来の化学物質、つまり早朝覚醒が
増えるアルコール(飲酒)、利尿作用のあるカフェイ
ン、覚醒作用のあるニコチン(喫煙)なども不眠の要
因としてよく取り上げられます。このように、様々な
要因で不眠が発生し、時には不眠症として問題になる
ことがあることがお分かりいただけたかと思います。
では、その不眠症の診断や治療はどうするのか?につ
いては次回にお話をして、次の睡眠障害である「過眠
症」について取り上げる予定です。
では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!