【自転車奔走記】第698回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第698回。

10月最後の日曜日。皆様、いかがお過ごし
でしょうか?金木犀の花の香が漂うようにな
り、今年は秋がなく、いきなり冬になるのか
も…と案じていましたが、ようやく秋になっ
たとひと安心しています。ですが、もう冬は
目前ですよね。風邪が流行ってきているよう
です。体調管理には十分ご注意下さい。予防
接種もお早めにお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・74。

【語句】
共生

【意味】
1 共に同じ所で生活すること。
2 異種の生物が、相互に作用し合う
状態で生活すること。

【解説】
今週は少し随想風になります。
先週の社会保障の最終回で21世紀の社会保障
を読み解くキーワードとして「共生」という
語句を取り上げました。皆様も、近年いろい
ろなところで「多文化共生」や「地域共生社
会」などの言葉を見たり聞いたりしていると
思います。【意味】のところで触れましたが、
「共生」は元々2の生物学の用語だったよう
で、今私が取り上げている共生は1の派生と
いうか、社会学的な意味を持つものです。

例えば、「共生社会」はこれからの私たちの
社会のありかたの一つの目標として提示され
ているもので、『共生社会とは,性別や国籍
の違いや障害の有無にかかわらず,多様な人
々が対等な立場でお互いを尊重し,支え合っ
て共に生きていく社会のことである。(内閣
府HPより引用)』と定義されています。ここ
から、ソーシャル・インクルージョン(社会
的包摂。社会的に弱い立場にある人々を排除
せず、社会の一員として包み支え合うという
考え方)や全員参加型社会(障害のある人な
ど、これまで十分に社会参加できる環境にな
かった人々も、積極的に社会参加し、貢献で
きる社会)などの概念が提唱されています。

ここで注目してほしいのは、「共生」という
のは用意された状態や状況を表すものではな
く、様々な概念や行為、行動が機能し、その
過程でコミュニティ内に生まれる運動体であ
り、ひいては私たちの社会での在り方である
という点です。逆に言うと、私たち一人一人
のコミュニティ内でのあり方によって、共生
社会になったり、ならなかったりすると言う
ことでもありますね。共生社会のお話が出る
と、関連ワードとして「相互理解と尊重」や
「参加型社会」というものが出てきますが、
共生=共に生きると考えると、全ての個人が
個人として認め、認められるという事は大前
提となりますし、全ての皆で社会を作ってい
く行為(参加)が無ければ、共生というコミ
ュニティシステムは機能しない事になります。

そして、このことは近代の国家概念の主流で
ある「福祉国家」システムからの脱却をも示
唆しています。さらに言うと、杞憂かもしれ
ませんが共生社会の動的システムは、容易に
地域主義、ナショナリズム、そして排外主義
へ結びつくリスクも内包しているのでは?

考えるのは私だけでしょうか…。
最近「共生」
という言葉を見聞きするたびに、このような
ことを取りとめもなく考えています。
というところで今週はここまで。
またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆