【自転車奔走記】第695回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第695回。

10月最初の日曜日、皆様いかがお過ごしで
しょうか?
日中は強い日差しが続いています
が、朝晩は秋らしく空気が涼しくなりました。
そういえば、ようやく今年の彼岸花を見るこ
とができました。
この分でいくと、秋の本格
的な到来はもう少し先になりそうですね。

さて、季節の変わり目は、日中の寒暖差が大
きくなっていきます。天候もやや不安定にな
りがちでもあります。体調不良や風邪などひ
かぬよう、健康管理に十分ご配慮をお願いし
ます。それと、今月からインフルエンザそし
て新型コロナウイルス感染症の予防接種が始
まりますので、お早めにお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
ーーーーーーーーーーーーーーー
たきび版:介語苑・73ー135。

【語句】
社会保障(制度)

【意味】
今週は、公衆衛生施策としての労働衛生につ
いて振り返ります。
前提として、労働は私た
ちの生活の基盤であり、社会活動の大きな部
分を占めるものであると同時に、健康に大き
な影響を及ぼすリスクを常に内包する活動で
もあることを理解しておく必要があります。

過重労働や有害物質の暴露、事故や災害のリ
スク、そして近年社会問題ともなっている精
神的なストレスまで、労働や職場には多くの
健康課題が潜んでいます。そして公衆衛生と
しての労働衛生は、そうしたリスクを未然に
防ぎ、働く人の安全と健康を確保することを
目的に発展してきました。では、労働衛生の
施策面について見ていきます。

現在の日本における労働衛生施策の中心とな
るのは、「労働安全衛生法」です。この法律
は事業者に対し、労働者の安全と健康を守る
ための義務を定めているものです。具体的に
は、作業環境測定や有害物質の管理、労働時
間の適正化、定期健康診断の実施などが挙げ
られます。また同法では「産業医」の制度も
定められていて、50人以上の事業場では産業
医の選任が義務付けられ、職場の健康管理体
制が制度的に整えられています。近年では、
従来型の災害防止や職業病対策に加えて、メ
ンタルヘルスへの配慮が重視されるようにな
りました。極端な長時間労働に伴う様々な問
題が社会問題化し、過労死防止法の制定やス
トレスチェック制度の導入につながったのは
記憶に新しいところだと思います。

そして、近年さらに注目されるのが「健康経
営」という考え方です。これは、従業員の健
康を守ることをコストではなく投資と捉え、
組織の持続的な成長につなげようとする取り
組みのことを指します。健康経営は企業活動
の一環であると同時に、公衆衛生施策の延長
線上にある社会的な取り組み(ソーシャルア
クション)とも位置付けられています。つま
り、労働衛生は企業内の課題にとどまらず、
社会全体の健康づくりに結びついているんで
すね。

このように、労働衛生は公衆衛生施策の中で
特に「職域保健」と呼ばれる領域に分類され
ます。学校や地域における保健活動と同様、
職場という集団の健康を対象にしているのが
特徴です。そして、働く人々の健康は、その
家族や地域社会全体の健康にも直結していま
す。このように、労働衛生は公衆衛生施策の
中で「働く人々の生活と健康を守る」役割を
担い、従来の事故・災害防止から、心身両面
の健康づくりや健康経営の推進にまで広がっ
ています。労働が私たちの人生に占める割合
を考えれば、この分野の意義は非常に大きく、
公衆衛生の一部としての労働衛生を理解する
ことは、安心して働ける社会の実現に欠かせ
ない視点となっています。

というところで今週はここまで。
次回は「公衆衛生」の振り返りまとめです。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆