【自転車奔走記】第678回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第678回。

湿気が鬱陶しい時期がきましたね。皆様いか
がお過ごしでしょうか?先だってもお話しま
したが、梅雨型熱中症には十分に注意してお
過ごしください。室温管理、水分補給、十分
な休養は必須です。また、食中毒など衛生に
も十分お気を付け下さい。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・73ー118。

【語句】 
社会保障(制度)

【意味】
「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、
国や地方公共団体などが一定水準の保障を行
う制度(セーフティネット)。

【解説】
公衆衛生の振り返り、今週は「環境衛生・公
害関連」の分野についてです。SDGsなど、
近年は環境に対する関心が非常に高まってい
ます。公衆衛生の分野でも、環境に対するア
プローチは時代と共に変化してきています。
まずは、環境衛生・公害関連の制度とその歴
史的な背景を振り返ります。

戦前の日本では、感染症予防を目的とした環
境衛生施策が主眼に置かれており、上下水道
の整備、糞尿処理、ごみ処理、住宅の衛生改
善といった、基本的な生活環境の整備が重点
課題でした。この時期は環境とはあくまで生
活環境の範囲内で捉えられていたことになり
ます。戦後も、復興期においては都市部の衛
生状態が悪化し、感染症の蔓延が深刻化して
いたので、環境衛生はあくまで地域保健や伝
染病予防の基盤として重視されていました。
従って当時の制度も上下水道の整備や廃棄物
の処理関連など生活環境の基盤整備に関わる
ものが殆どでした。そして高度経済成長期、
工業化が急速に進展する一方で、四日市喘息
(大気汚染)、水俣病(有機水銀)、イタイ
イタイ病(カドミウム)、新潟水俣病など、
深刻な健康被害をもたらす公害事件が相次ぎ
ました。

これらの公害問題は国民の生命・健康を脅か
す深刻な公衆衛生上の課題として社会問題化
し、環境に関する法制度整備の必要性が高ま
りました。この時期には公害対策基本法や大
気汚染防止法など多くの公害関連の法令や制
度が整備されています。この時点で環境は、
生活環境から社会環境へとその範囲を広げた
と言ってもいいでしょうね。そしてその流れ
で1971年には環境庁(現在の環境省)が設置
され、環境問題が従来の公衆衛生活動の一つ
から行政上独立したものとして扱われるよう
になりました。

ただ、公害による健康影響への対応や、住民
支援、健康調査などは、依然として保健所や
自治体保健部門と連携して行われ、公衆衛生
の枠組みの中での継続となっていました。さ
らに時代は進み1990年代以降、世界的な地
球環境問題(地球温暖化、大気中の微小粒子
物質など)への関心が高まりを受け、環境衛
生の主軸は公害対策から環境保全と健康影響
へと広がりました。日本では1993年に「環
境基本法」が制定され、現在でも公害対策基
本法に代わる包括的な環境法として機能して
います。

他にも建築物衛生法や室内空気質規制など日
常環境と健康との関係に再注目した法令も整
備されました。そして現在、地域の環境衛生
と公衆衛生行政は水道・下水道管理や廃棄物
処理とリサイクルなど様々な分野で融合しな
がら機能しており、行政制度としては「環境
省」と「厚生労働省(保健所等)」の連携を
基礎としながら、様々な政策や制度の実施、
運用にあたっています。

というところで今週はここまで。
次回は、環境衛生・公害関連の制度について
振り返ります。
では、またお会いしましょう。
お相手は広森でした!
See You Next Week☆