【自転車奔走記】第535回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第535回。

10月最後の日曜日です。皆様、いかがお過ごしで
しょうか?
そろそろ、秋物の服から冬の装いが目立
つようになってきました。秋も深まり、紅葉など秋
本番の愉しみが増えてきますね。ただ、徐々に寒く
なってきますので、体調管理には十分お気をつけ下
さい。また、この冬はインフルエンザと新型コロナ
ウイルスの同時流行も危惧されています。予防接種
はお済でしょうか?まだの方は早めの接種をお願い
します。そして、新型コロナウイルス感染の基本的
な感染対策はインフルエンザにも有効です。対策を
これまで通りしっかり行って予防をお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-37。

【語句】
睡眠障害

【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。 不眠症や過
眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。

【解説】
今週は『睡眠12箇条』の第10条についてです。

第10条
眠くなってから寝床に入り、
起きる時刻は遅らせない。

(解説)
この10条では、「寝つき」に纏わる睡眠の問題に
ついて述べています。寝床に入ってもなかなか眠れ
ないいわゆる「寝つきの悪い」人、睡眠不足や不眠
を感じている人は、望ましい睡眠時間を確保するた
めに、目覚めなければいけない時刻から逆算して寝
床に就く時刻を早めに設定しがちであるという研究
データがあります。思い当たる節のある方は多いの
ではないでしょうか?私事になりますが、私も寝つ
きはあまり良くない人でして、起きなければいけな
い時間から逆算して『今晩は○○時に寝ないといけな
いけれど、寝るまでに時間がかかるから△△時には
布団に入らないといけない!』と考えるタイプです。
で、その通りの時間に布団に入ってもなかなか寝付
けず、眠ろう!眠ろう!と思えば思うほどアタマは
冴えてきて、ようやくウトウトし始めたら窓の外が
白みだし雀がチュンチュンというのがよくあります。

皆様も経験したことがおありだと思いますが…。で
は、実際はどうでしょうか?研究により、人間の寝
つける時刻というのは季節や日中の身体活動量など
により変化し、一年を通じて毎日同じ時刻に寝つく
ことが自然なわけではないという事が判っています。
つまり、寝付く時間が変化するのは私達にとって当
たり前の生理的現象だという事です。さらに、就寝
する2〜3 時間前の時間帯は一日の中で最も寝つきに
くい時間帯と言われています。このことは何を意味
するか?というと、眠気の有無に関係なく、時間を
決めてその時間に合わせて入眠するという事は、実
のところ人間の生理上かなりの無理難題という事な
んですね。確かに、不眠や睡眠不足を経験すると心
配になって早くから寝床に就こうとしがちです。

ですが、先ほどのお話のとおり意図的に早く寝床に
就いたところで早く眠れる訳ではないので、結果と
して寝つきが悪くなるという結果に至ります。さら
に悪いことに、「さあしっかり睡眠時間を確保する
ために眠ろう!」と意気込むことや、「せっかく明
日に備えて早く寝床に入ったのに眠れない…。この
ままでは眠れないのかもしれない」という不安は思
いとは裏腹に脳の覚醒を促進し、自然な入眠を遠ざ
けてしまうことが、健常人を対象にした介入研究に
おいて示唆されているんですね。これらのことから、
「明日は○○時に起きないといけないから今晩は△△
時には寝ないといけない!」とか「寝つきが悪いか
ら早めに床に入って睡眠時間を確保しよう!」と考
えてしまうことは、睡眠という行為にとってはNG!
であることが分かります。

ですので、就床時刻はあくまで目安ということ、そ
してその日の眠気に応じて、眠くなってから寝床に
就く
ことが、スムーズな入眠や健康的な睡眠への近
道とされています。この「眠くなってから寝床に就
く」というのが大切なんですね。先ほどもお話しま
したが、眠たくないのに無理に眠ろうとすると、か
えって緊張を高め、眠りへの移行を妨げます。です
ので、自分にあった方法で心身ともにリラックスし
て、眠たくなってから寝床に就くようにすることが
重要です。また、たとえ眠気がなかなか来なくて寝
床に入る時刻が遅れても、朝起きる時刻は遅らせず、
できるだけ一定に保つことも非常に大切です。実際
のところ朝の一定時刻に起床し、太陽光を取り入れ
て体内時計を覚醒させることで、入眠時刻は徐々に
安定していくことが研究により示唆されているんで
すね。で、入眠時刻が安定し、起床時間が変わらな
いのであれば、おのずと睡眠時間も適正化されてい
くという訳です。

とはいっても、不眠を経験してしまうと「今晩は眠
れるだろうか?」という心配を持ってしまう人も多
いと思います。ですが、このことによって緊張が助
長され、さらに目がさえて眠れなくなってしまうと
いうことも先ほどお話した通りです。こうした場合、
一つの方法として、思い切っていったん寝床を出て、
リラックスできる音楽などで気分転換し、眠気を覚
えてから、再度、寝床に就くようにするという方法
もあります。つまり眠気の到来を促す活動をすると
いうことですね。また、入眠しても眠りが浅く何度
も夜中に目が覚めてしまう場合は、寝床で過ごす時
間が長すぎる可能性が考えられます。以前にお話し
ましたが、人間の身体が必要とする睡眠時間という
のは成人の目安で6 時間以上8 時間未満であり、こ
のくらいの睡眠時間の人が最も健康であるというこ
とです。必要以上に長く寝床で過ごしていると徐々
に眠りが浅くなり、夜中に目覚めるようになるので、
特に注意が必要です。

対処としては、眠くなるまで寝床に入らないという
積極的な遅寝と早起きを心がけて、寝床で過ごす時
間を適正化することが大事なんですね。
というところで今週はここまで。
いよいよ終盤に差し掛かりましたが、
次回も睡眠12箇条についてのお話です。
日曜日のお相手、広森でした。
SEE YOU NEXT WEEK!