【自転車奔走記】第503回。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第503回。

2月最後の日曜日、皆様いかがお過ごしでしょうか?
いよいよ冬も終わり、待ちに待った春の到来が近づき
ましたね。今年の冬は寒かったので、ポカポカ陽気の
春の訪れが待ち遠しい毎日です。梅見に花見、春の行
楽など春ならではの楽しみも一杯ですが、新型コロナ
の感染は引き続き警戒が必要です。感染対策の肝は個
人個人の地道な感染予防対策です。基本的感染症対策
の①こまめな手洗い②換気③密の防止④不要不急の外
出を控える、これらの対策の徹底を続け、感染の拡大
を防ぎましょう!

また、コロナ対策も大事ですがヒートショックや冬場
の脱水症、そして転倒など高齢者の事故についても引
き続き注意をお願いします。
では【自転車奔走記】はじまります!
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たきび版:介語苑・72-7。

【語句】
睡眠障害

【意味】
睡眠に関連した多種多様な病気の総称。
不眠症や過眠症、中途覚醒や入眠障害などがある。

【解説】
今週は体内時計のメカニズムが睡眠とどのように関わ
っているか?についてお話します。体内時計はおおよ
そ24時間の周期で体内のホルモン分泌量や体温を変
動させる機能を常に発動させているといった内容のお
話をしましたが、この体温やホルモン分泌などの生体
機能が24時間の周期のリズムで変動することが、ヒト
の睡眠と覚醒の調節に非常に重要な役割を果たしてい
ます。では、その具体的な内容を見ていきましょう。

体内時計が司る身体の概日リズムで睡眠と密接な関係
にあるがの体温とメラトニンというホルモンの変動で
す。ヒトの体温は、概日リズムによって1日の中で 概
ね1℃の幅で変動しますが、睡眠中が最も体温が低い
状態です。そして起床後から徐々に体温は上昇し昼過
ぎから夜にかけて最も高くなり、その後は低下し始め
ます。この体温の変動を体内時計が司っている訳です
が、体温が下がり始める時間帯が一日で言うところの
夜になっているのが興味深いですよね。人間にとって
体内時計の獲得はそれこそ遺伝子レベルでの先天的な
ものなのか、育成・生活環境によって左右される後天
的なものなのか?その研究が待たれるところです。

さて、体内時計によって脳の温度が下がり始めると眠
気が生じますが、この時に分泌が開始されるのがメラ
トニンというホルモンで、入眠を促す作用を持ちます。
体温の低下とメラトニンの分泌により私達は眠りに入
るわけですね。逆に睡眠時に低かった脳の温度は概日
リズムにより朝方に近づくと徐々に上昇を始めます。
この脳の温度の上昇に合わせて副腎皮質ホルモン(覚
醒ホルモン)が分泌されはじめ、私達は目覚めて様々
な活動を始めることになるんです。また、概日リズム
はおおよそ25時間周期になっていますが、1日24
時間の周期で社会生活を営む私達にとっては1時間の
ズレは具合が悪いので、私たちは朝の光や目覚まし時
計の脅迫的な音で半ば強制的に覚醒し体内時計をリセ
ットする作業をしています。このように体内時計の働
きで私達の睡眠と覚醒は調整され、眠るという活動が
制御されている訳なんですが、この体内時計も天下無
敵!何があっても揺るがないという訳ではありません。

例えば入眠ホルモンのメラトニンですが、明るい光の
下では分泌が停止する性格を持っています。このこと
は、体内時計によって体温が落ち始めた時に明るい光
が満ちる環境にいると入眠ホルモンの分泌が停止して
しまい、体内時計では眠る準備態勢を整えているのに
眠たくならない、つまり体内時計と睡眠のズレという
現象が出現することを意味します。このズレなど様々
な要因でヒトの体内時計は容易に狂いが生じますし、
その体内時計の狂いが睡眠障害の大きなトリガーとな
ることも知られていますし、なにより人の生体機能に
色々な悪影響をもたらすこともありますので注意が必
要です。

というところで今週はここまで。
次回はレム睡眠とノンレム睡眠についてお話をします。
では、またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK!