【ケアマネの自転車奔走記】連載・第260回。
久しぶりのまとまった雨が降りました。皆様、
いかがお過ごしでしょうか?雨降りが続いて
少し気温が下がったので過ごしやすくはなり
ましたが、久々の湿気が体に纏わり付く感覚
を肌で思い出し、もうすぐの梅雨入りを実感
すると憂鬱になりました(苦笑)。水分補給
や室温調整などの熱中症予防に加え、食品衛
生にも十分注意して元気にお過ごし下さいね。
では【自転車奔走記】始まります!
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引き続きAAと断酒会についてのお話です。
前回、双方の組織が行うミーティングや例会
と呼ばれる活動の内容や方法についてお話し
しました。今週はAAと断酒会の組織運営形態
や他の相違点についてお話しします。まず組
織形態ですが、AAは「組織を持たない」役員
や会員や会費といったものは無く、全国各地
にあるAAグループに属するメンバーがそれぞ
れ活動と運営をしています。各地でそれぞれ
活動するAAグループの活動情報や地域ブロッ
クごとの活動情報をメンバーに提供する目的
で北海道や中部など主要ブロックごとに置か
れているサービスオフィスやさらに全国規模
での連携や情報発信を行うジェネラルサービ
スオフィスも置かれてはいますが、一般組織
でいうような本部・支部という関係ではなく、
あくまで並立の関係であり、サービスオフィ
スやセントラルオフィスの目的は情報発信が
主で、それぞれのグループに対して指示や運
営上の指導は行っていません。また、会費が
無いと書きましたが、各グループの運営はメ
ンバーたちの献金(決まった金額はなく、払
える範囲で有志に基づく)で賄われています。
これに対して断酒会は全国組織や各支部と、
しっかり組織化されているのが特徴で、上部
組織として「(社)全日本断酒連盟」があり、
各都道府県に都道府県連合、そして各地に地
域・支部断酒会という組織形態になっていま
す。断酒会に参加するには入会の手続きが必
要で、入会金や会費(入会金が1000円、月会
費が1000~2000円程度)も発生します。AAが
あくまで匿名を前提とする組織であるのに対
し、断酒会は会員が氏名を名乗って気後れす
ることなく社会に対して広く依存症患者の支
援、禁酒・断酒の活動を行うことを目的とし
ていますのでこのような組織形態になってい
ます。他の相違点ですが、AAは基本的に匿名
のアルコール依存症患者の集まりですので、
活動(ミーティング)は当事者のみ(クロー
ズド)が基本となっています。ただ、誰でも
参加できるオープンミーティングも行われて
います。一方依存症患者の家族は、家族当事
者のグループ(「アラノン」と呼ばれていま
す)に参加することになり、通常のAAミーテ
ィングには参加しないことが一般的です。
これに対して断酒会の例会は、当事者だけで
なく当事者家族の参加も推奨されています。
これは、家族は依存症の当事者ではないが、
アルコールによる害を依存症患者から間接的
に受けているという意味で、当事者とともに
家族も依存症の影響から回復することが必要
であるという考えからです。このようにAAと
断酒会の違いを観てきましたが、それぞれに
特徴があるものの、目的は「アルコール依存
症からの回復」という点で一致していること
は強調しておきます。
さて、先週「12ステップ」と呼ばれる依存症
からの回復を目指すプログラムについて少し
言及しましたが、ここでその内容についても
う少し詳しくお話しをするはずだったんです
が、長くなりますので次回に繰り延べさせて
頂きます。と言うところで今週はここまで。
次回またお会いしましょう。
SEE YOU NEXT WEEK