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【自転車奔走記】依存症とは#19。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第254回。

いよいよ秋も終盤。紅葉も見ごろになってきま
した。皆さまいかがお過ごしでしょうか?朝晩
がめっきり寒くなって、我が家でも暖房器具を
引っ張り出して冬支度が始まっています。これ
から日増しに寒くなりますので、体調管理には
十分お気を付け下さい。加えて早めのインフル
エンザの予防接種もお願いしますね!
元気に晩秋を楽しみましょう。
では、【自転車奔走記】はじまります。
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アルコール依存症患者さんとその家族との関係
についてのお話しを再開します。10月30日の回
で、アルコール依存症患者が抱え込み、そして
生み出すトラブルに、その家族がどのようにし
て巻き込まれていくかというお話しをしました。
周りの制止も聞き入れられず、嘘をつき、自分
や周囲を胡麻化しながらお酒を飲み続ける依存
症患者に対してその家族は、酒を飲まないよう
説得を試みたり、お酒を隠してみたりと色々な
方法でお酒を飲まないよう働きかけます。
ですが、そもそも何があってもお酒を止める事
ができない病気がアルコール依存症ですので、
殆どすべての働きかけが大した効果なく終わっ
てしまいます。そうするうちに家族は、本人が
起こした問題や失敗の尻拭いをしたり、周囲や
社会に対して体裁を取り繕おうとしたり、本人
を庇ったりするようにもなります。このような
家族の対応は一見、本人を依存症から何とか立
ち直らせたい、あるいは本人も含め家族全員が
依存症から解放されたいからこそのもののよう
に見えますが、実はこの時点で既に本人とその
家族全体がアルコール依存症という病気を維持
させてしまう連鎖
として機能しているんですね。

正直、不思議なお話ですよね。お酒を飲みたい
アルコール依存症患者とお酒を止めさせたい家
族が一緒になってアルコール依存症であること
を維持していくというなんですから。このメカ
ニズムを理解するために必要な概念が以前少し
お話しした“イネブリング”という考えです。
「イネブリング」というのは『支える。後押し
する』といった意味を持ちます。アルコール依
存症の場合、依存症患者の飲酒をイネブリング、
つまり本人の飲酒欲求を“後押し”して本人が飲
酒しやすいように、あるいは本人が飲酒する理
由を作り出してしまうことを指します。

まずは具体的にどういうメカニズムでイネブリ
ングが機能するのかを見てみましょう。まず大
前提として、アルコール依存症というのは『自
分が感じる飲酒欲求の前では、自らの意思でも、
他からの強制であっても、飲酒をやめることが
できない状態に陥る病気』という事をおさらい
しておきます。

例1
 家族が酒を飲まないように、捨てたり
 隠したりする。
 酒を飲まないよう監視したり、お金を
 持たせないようにする。
      ↓
(依存症患者本人は・・・)
『飲みたいのに酒がない→(だから)気分
 が悪い。飲もう』
『自分はアル中でもなんでもないのに、
 信用されていない。→傷ついた。
 嫌な気持ちになった。→だから飲もう』

例1は依存症本人に飲酒の理由を与えてしまうイ
ネブリングの典型例です。大前提で挙げた通り、
アルコール依存症患者は何がどうあれお酒を飲み
ます。ですので酒を隠そうが、監視しようが制限
を設けようが、最終的には飲みます。その飲酒に
身勝手な根拠を与えてしまうのが上述の例なんで
すね。「酒を飲む自分も悪いけど(自分が)酒を
飲まずにはおれないようにさせる家族も悪い」と
いうまことに勝手な理屈ですが、依存症患者にと
ってみれば、自身が感じている飲酒に対する罪悪
感を家族に肩代わりさせることで、少しでも薄れ
させることができる訳ですから、こんな好都合な
ことはないわけで、飲酒に対する罪悪感ややまし
い気持ちが薄れ、家族を否定することで飲酒を続
ける自分を肯定し飲酒を続けていく事になります。

例2
 家族が、本人が飲酒で引き起こした
 トラブルや失敗の尻拭いをする。
      ↓
(依存症患者本人は・・)
『家族が自分の代わりに色々してくれる
 ので助かる→自分が起こしているトラブル
 や失敗に気付かない、事の重大性に気付か
 ない→(別に酒を飲んでいても、問題は
 起こっていないから)飲まない理由はない。
 だから飲もう』

例2は本人の自覚を妨げるイネブリングです。一
般にアルコール依存症患者が自ら治療に向き合う
ためには“底つき体験”と言って「にっちもさっち
も行かない、地位や信用、居場所を失い、家族や
友人も離れ、独りぼっちで未来も過去もないどん
底に落ちる」くらいの経験が必要だとよく言われ
ます。例2では、家族としては本人の事を思ってか
もしれませんが、結果としてアルコール依存症患
者が自らの飲酒で引き起こした様々なトラブルの
結果と本人を遮断してしまい、本人が飲酒との問
題と向き合う機会を奪っています。結果、気づき
のないアルコール依存症患者は、いつまでも飲酒
を続けることになります。

例3
 家族がお酒を飲まないように説教する。
 離婚や別れをほのめかしたりして断酒を迫る。
      ↓
(依存症患者本人は・・)
『自分でも悪いとは思っている。まずいことだ
 とは分かっている。何度も言われると嫌になる
 →(だから)気分が悪くなる。飲もう』

例3は例1とよく似ています。話し合いやある意味
脅しをかけることで飲酒をやめさせようとするの
ですが、結局本人には飲酒の理由(身勝手な)を
与えている結果になっています。3つの例を挙げま
した。正直、この話に合わせて
都合よく作った話
のように読めるくらい辻褄が
合いすぎた話と感じ
た方も多いと思います。
ですが、これらは現実も
現実、本当のお話しな
んです。本人の事、そして
自分たち家族の事を
考え、色々な方法で断酒をさ
せようとする試み
や行動や言動の殆どすべてが、
依存症患者にと
っては『飲酒の理由』として働い
てしまうんで
すね。本人に酒を止めさせようとい
う行為が、
逆に本人が飲酒しやすい状況を作って
しまうこ
のイネブリングという現象。正直怖い話
ですが、
アルコール依存症患者と家族との関係を
考える
上ではまだ入り口の段階です。イネブリン
をする人を『イネブラー(支え手。後押しする
人)』と呼びますが、家族がいつの間にかその
ネブラーになってしまうことがこの問題の本
質な
んですね。そして、イネブラーとしての家
族とア
ルコール依存症患者本人との間には共依
存という
関係が多く見られるようになります。
この共依存
関係が出来上がると、アルコール依
存症は本人だ
けでなく家族も巻き込み、蝕む状
態へ悪化します。

というとことで、今週はここまでとします。
次回は、共依存というものについて
お話しを進
めていきます。
では、またお会いしましょう!
SEE YOU NEXT WEEK 

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