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【自転車奔走記】「関わるケア」#9。

【ケアマネの自転車奔走記】連載・第160回。

今日から9月!暑過ぎた夏ともおさらばして、
早く心地良い秋風を感じてみたいと思っています。
ですが、残暑はまだまだ油断できません。
皆さま、引き続き体調にご注意くださいませ。
さて今週こそ阿久悠さんの甲子園の詩をご紹介
します。
ご紹介する詩のタイトルは
『コールドゲーム』と言います。
詩を紹介する
前に、題材となった試合について話しますと、
今から25年前、1988年の夏の甲子園大会、
その日、岩手代表で甲子園初出場の高田高校と
兵庫県代表
の滝川第二高校が対戦しました。
雨天の中のプレイボール
でしたが激しくなる雨、
中断、そして8回裏
さらに激しさを増す雨の中、
審判団は遂にコールドゲーム
を宣言、高田高校は
最終回の攻撃を残したままゲームセット、
甲子園を後にする事になりました。
その高田高校ナインに宛てた阿久悠さんの詩の
一部を
ご紹介します。

コールドゲーム
初陣高田高の
夢にまで見た甲子園は
ユニホームを重くする雨と
足にからみつく泥と
白く煙るスコアボードと
そして
あと一回を残した無念と
挫(くじ)けなかった心の自負と
でも
やっぱり
甲子園はそこにあったという思いと
多くのものをしみこませて終った
高田高の諸君
きみたちは
甲子園に1イニングの貸しがある
そして
青空と太陽の貸しもある

1イニングの貸し」「青空と太陽の貸し」
この言葉を見た時、思わず涙がこぼれました。
因みに、紹介した詩文は高田高校の甲子園出場を
記念して石碑に刻まれました。そしてその石碑は
あの
東日本大震災の津波をも跳ね返し、今なお
静かに
球児たちの夏を語りかけています。
高校球児に負けぬ様、これからも全力プレーで
皆さまに接していこう!と思いを新たにした
ヒロモリが
お送りします【自転車奔走記】開講!
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今週はパーソンセンタードケアについて、
事例を交えて
もう少し具体的に見ていきます。
パーソンセンタードケアのお話しをしていく際、
「人間中心」と「業務中心」という対立項の
お話しを
してきましたが、この人間と業務と
いう文言
を対比的に取り扱うトコロに、
このパーソンセンタードケア
の分かりにくさ
というか理解の肝の部分があるんですね。
では早速事例を通して、この文言の対比構造を
考えて
いきましょう。

【事例】
Aさんは2年程前にアルツハイマー型認知症と
診断されました。最初は軽度のもの忘れ程度で
家族の介護を受け自宅での生活を続けてきましたが、
徐々に病気が進行し排泄に関するトラブルが深刻化
してきました。具体的には
○トイレの場所が分からず、家屋内で排泄する。
○服を着たまま排泄。汚れた手を衣服や寝具で拭く。
○排泄物が付着したままの手で食事をしようとする。
ご家族は常時Aさんの傍にいるわけにもいかず、
Aさんの行為の
処理に振り回される毎日が続き、
精神的にも肉体的にも
追いつめられ、Aさんは
介護施設へ入所することとなりました。

以上の事例を使って、先ずは業務という言葉の
意味を
考えていきたいと思います。
事例から分かるAさんの状態で、特に問題視
されるのは
排泄に関する問題行動、トイレ以外の
場所で排泄したり、
汚れた手で食事をしたり
する行為で、食中毒や感染症の
発症リスクが
非常に高い状態です。また施設という共同
生活
の場での公衆衛生面でもリスクがあります。
また、なによりもAさんが不潔な状態のまま
過ごす事は、尊厳の意味からも防がないと
いけません。
上述の状況分析から考えると、
最優先するべきはAさんの
排泄にまつわる
問題行動を防止することになります。
具体的には、Aさんの活動状態に合わせて
おむつや
リハビリパンツを活用し、頻度の高い
おむつの交換で汚染
を防止していく方法を取る
ことになります。その事で、
排泄による衣類等の
汚染防止ができ、衛生面の改善が
見込まれます。
同時に、頻度の高いおむつの交換を行う
事により、
Aさんも常に清潔で快適な状態で過ごす事ができ、
QOL(生活の質)向上にも効果が期待できます。

と、事例の内容を「業務」というフィルターを
通して分析し、
解決策の一つを導いてみました。
どうでしょうか?
特に問題があるようには
思えませんよね…というより
全くと言っていいほど
常識的な解決策だと思います。
この業務という
言葉を捉える際のヒントというのは、
「業務」をするのは誰か?
という事を考える事、つまり
主体を考えるという
ことです。
先程の考えで行くと、Aさんの問題と
なっている現象
を解決する主体となるのは、
施設のスタッフです。
こまめなおむつの交換や
清拭等の業務を行うことで、
Aさんの問題行動を
防ごうというアプローチです。
言い換えると、
業務という、予め用意された援助の
内容の中に
AさんとAさんの問題行動を落とし込んでいく
方法論と言えます。確かに、限られた人員や
設備の中
で最良のケアを行う為には、この業務
中心という
アプローチ方法を避けて通る事は
できませんし、
このアプローチ方法が間違って
いるとか
言うつもりは毛頭ありません。

ですが、
業務という
言わば既存の手段の中に個人と
その個人が抱える
問題を落とし込んで解決しよう
とするアプローチのみ
頼り過ぎると、
個人の尊厳を蔑ろ
にする結果を誘発しやすく
なるのも事実です。

何故かと言いますと、Aさんに対して行う
「ケア=業務」は、
Aさんにとって有用かつ尊厳を
守る為のものですが、
一方でその業務を阻害する
ような出来事、例えば
自分でおむつを外してしまい、
結果排せつ物で衣類や寝具等を汚して
しまう行為が
あると、今度はその行為を防ぐ業務を
行う必要が
生じます。
人間の尊厳を守るために業務という
作業に人間を落とし込む事が、その裏には容易に
人間の
尊厳を傷つけてしまう結果を招く危険性を
孕んでいるという
ことになり得るこの点が
業務中心というアプローチ方法
が持つ限界点と
言うべきものかもしれません。

ただし、業務中心の考え方が、即ち安易に
人の尊厳を傷つける
という事では全くない事も
合わせてご理解下さい。
業務中心という
アプローチ方法が非常に有効に作用
するケースも
多々存在しますし、拘束衣も、その方の
身体生命や
健康を守る為には必要となるケースも
あります。
業務中心と言う、業務を行う人
を基点とした
アプローチ方法は非常に有効である反面、
安易に
流されると、業務の担い手である介護者の都合

優先してしまい、利用者の尊厳を容易に傷つけて
しまいかねない、
という事が今回の文意です。

事例を通じて「業務中心」という言葉の持つ
意味
を考えてきました。来週は同じ事例を
使って人間中心
という言葉を一緒に考えましょう!
それではまた来週、See you next week

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